令和3年9月15日【多様な市民活動の推進】

2021-09-15

令和3年9月15日 第3回定例会
「多様な市民活動の推進」

(久保田英賢議員)「多様な市民活動の推進」についてです。
 社会を取り巻く環境は様々な分野で常に変化をしております。子どもたちの問題、高齢者や障がいをお持ちの方などの問題、環境の問題、病気の問題など、問題は多様にあり、この問題解決においては行政だけで解決していくことは困難な状況になってきていると思います。こうした中で、海老名市でもまちの様々な課題、問題に対して、市民、市民団体がそれぞれの分野で課題、問題解決のために活動をされています。市民の皆様の豊かな経験や能力を発揮していただき、市民と行政が地域の課題解決に取り組むことは非常に重要なことだと思います。市では海老名市市民活動推進条例をつくり、その活動を支援していると思いますが、具体的にどのような活動の支援をしているのかお伺いいたします。
 
市長(内野 優) 久保田英賢議員のご質問にお答えいたします。
 市における自治の最高規範である自治基本条例と市民参加条例の理念を尊重し、市民、市民活動団体、行政が協働して地域課題の解決に取り組んでおります。平成22年に市民活動推進条例を制定し、福祉や教育、環境問題等、多様な市民活動を支援してまいりました。多くの市民団体は財政的に不安定な面があることから、市民活動推進補助金を交付し、公益的な活動を行う市民団体を後押ししております。これまで延べ78団体に補助金を交付しております。また、令和2年度には交付年数を延長するなど補助制度の改善を図っております。
 推進委員会というのがありまして、そこでいろいろ審査があるわけですけれども、常に言っていることは、推進委員会の条例はありますけれども、考え方、あるいはニーズ、そういったものについてできるだけ改善することは構わないという形でやっております。外部評価委員会もそうでありますし、様々な委員会がございますけれども、そういったある程度自由な発想というものを持っていただきながらやっていただくということは、常に私も委員会の皆さんにお話ししているところでございます。今後も市民団体にとってより使いやすくなるよう見直しを図り、市民活動を支援してまいりたいと思います。
 市南部地域における地域コミュニティ交通実証運行は、令和元年10月から2年間の予定で運行を開始し、今月30日で終了いたします。利用者の傾向でございますが、海老名駅を発着するルートで利用者が多いこと、社家駅、門沢橋駅の利用者は少ないこと、利用者は高齢者が8割を占めていること、また、有償化後は利用者が4割ほど減少していることなどといった状況でございます。市といたしましては、社家駅、門沢橋駅を鉄道への乗り換えポイントとしてご利用いただくことを期待しておりましたが、海老名駅までのご利用が多い状況でございます。
 
(久保田英賢議員) 
 平成22年4月より市民活動推進補助金の事業が始まったということで、もう10年を過ぎていることであります。市民活動の後押し、また、行政だけでは課題解決できないものを市民と一緒に協働でやっていく、そんな趣旨だと思います。改めてなぜこの事業が始まったのか、事業の実績はどうなっているのか、そして制度の改正を途中でされているということを伺いましたので、その点に関してお伺いしたいと思います。

市民協働部長(藤川浩幸) 3点のご質問だと思います。まず1点目の事業の始まりでございます。
 こちらは阪神・淡路大震災以降、地震や台風などの被災地における災害ボランティアをはじめ、市民団体が行政だけでは行き届かない問題に取り組まれている実情が全国的に広がり始まりました。本市においても、様々な課題に取り組む市民団体への支援や市民活動を推進する環境づくりが必要ということから、平成22年に市民活動推進条例を制定いたしまして、市民団体への支援について整備をしたところでございます。
 次に、2点目になりますが、事業の実績でございます。
 補助金の交付件数を申し上げます。平成30年度10件ございました。令和元年度から令和3年度までの3年間につきましてはいずれも7件ずつとなってございます。
 それから、3点目の制度の改正内容についてでございます。
 補助金制度につきましては、これまで市民活動の活性化に向けて、より有効な支援を行うため、市民団体のニーズや近隣自治体の補助制度を研究してまいりました。その結果、令和2年度から補助金を受けられる年数を最長4年から6年に2年間引き上げました。また、補助金の交付上限額の区分につきましても、従来は入門編と発展編という2区分でございました。これに充実編という区分を追加いたしまして、3区分へということとしてございます。
 
(久保田英賢議員) ありがとうございます。制度を変えて、より市民活動がやりやすいような状態にされてきているということだと思います。開始より11年という話を先ほどしました。延べで78団体と先ほど市長からの答弁がありましたけれども、その団体の皆さんがどんなテーマで活動をされている団体なのか、また、活動内容としてはどんな傾向にある団体の皆さんなのかということをお伺いしたいと思います。

市民協働部長(藤川浩幸) 補助団体につきましては特筆すべき傾向といったことは特にございませんが、子育て世代の応援ですとか、あるいは不登校支援、それから環境に関する取組、そのほか合唱などの音楽活動や学びの機会の提供など、本当に様々な分野で活動されているという状況でございます。以上でございます。

(久保田英賢議員) ありがとうございます。団体として様々な分野の方々だということで、私も団体の皆さんのリストを見させていただきましたけれども、大きく分けると2つ、社会的支援をしていく事業の皆さん、そしてもう1つは文化芸術的な事業をされている皆さんという形で、この2つの趣旨というのは、意義が若干違うかなと、いずれも市民の生活の支援をしていく、そういう活動だと思いますけれども、そんなふうに感じました。
 お伺いしている中では、この補助金は最大で6年間補助ができるということで、補助が終了した団体はその後どういう状況にあるのかということをお伺いしたいと思います。

市民協働部長(藤川浩幸) 補助金の交付を終了した団体に対しましてでございますが、アンケート調査というのを実施してございます。そういった声を聞いたところ、補助金の交付を受けている間に事業の基盤をつくることができたというご意見をいただいております。また、事業の規模を広げることができた、あるいは市からの補助金の交付を受けていることで協力いただける連携先が増えたなど、そういったご意見もございます。市民団体における事業の継続と活動の幅を広げることに補助金を活用いただいているものと考えております。
 
(久保田英賢議員) ここは大事なところだと思うのです。しっかりと団体を支援して、団体が市民生活を豊かにしていくための活動をしてもらって、そういう補助金を受けた中で自立をされていく。その自立をされてきたところから終わりではなくて、まさにそこから市民活動をしっかりとしていっていただくということは非常に重要なことだと思います。市が思い描くこの補助金を活用した団体の活動はどんな活動なのかということをお伺いしたいと思います。

市民協働部長(藤川浩幸) まずはこのような補助金制度がございますので、活用をいただいて、事業を軌道に乗せていただき、そして、いずれは行政だけでは対応が難しい様々な課題に対しまして、市民団体と行政が協働して取り組んでいけるような団体の育成につながればと考えております。
 以上でございます。

(久保田英賢議員) ありがとうございます。まさに今ご答弁がありました行政だけでは解決できない、そういう問題を団体の皆さん、もちろん支援を受けている中での活動のときもそうですし、支援を受け終わった後の活動でも、市民の皆さんと行政が協働でいろいろな問題解決をしていく、その仕組みが重要だと思います。市民活動推進条例の第6条、第7条、第8条あたりにその辺のことが書いてあります。市民活動推進に必要な施策を策定して、それを実施していく。これが行政の役割。そして、行政の支援としては、市民活動に対して必要な支援に努める。そして第8条としては、協働して事業を行うものとするとなっております。この補助を受けた団体と行政の連携というのは非常に重要だなと思っています。今どちらかというと、補助を採択された方々は独自に事業をやられていっている。だけれども、そこではなくて、私は求めるところはまさに市民協働のところで、採択された団体の皆さんと行政が一緒になって、課題、問題に取り組むということが重要ではないかなと思っています。
 今年補助金を採択されましたまなピタネットという不登校を支援する団体があります。そこが採択事業の学びのビュッフェという事業を開催されました。この事業は、私も参加をさせていただいたのですけれども、教育長をはじめ教育委員会の皆さんも、その事業実施に向けて協力をされながら、当日事業を実施されました。まさに不登校というテーマの下、市民団体の皆さんと、そして教育委員会が一緒になって協働で事業を行った理想的な形ではないかなと思っております。このように、採択された事業に対して、団体に関わる所管課にしっかりと情報提供をしたり、所管課と団体をつないだり、もしくはともに事業を開催する、そういうお手伝いをしていったりということが協働のまちづくりの観点としては非常に重要だと思いますけれども、見解をお伺いいたします。

市民協働部長(藤川浩幸) 市民団体と行政との協働といったところでございますが、多様な問題解決に必要不可欠だと考えております。そのためには、事業に関わる所管課に積極的に情報提供いたしまして、市民活動への理解を深めていただき、市民団体との協働につなげていきたいと考えてございます。 

(久保田英賢議員) ちょっと言い方が語弊があると困るのですけれども、繰り返しになりますが、団体をただただ補助金で支援をすることがこの補助金の目的ではないと言いたいと思います。団体が市民生活であったり、まちの中の課題、問題であったりということをしっかり自分たちの見地を持って解決していく。そのために活動するものを行政が一緒になって応援していくというものだと思っております。
 1つ、松戸市の事例を紹介させていただきます。松戸市の中では協働事業提案制度というものの制度を持っています。これは、民間の発想や手法を生かして、提案者と市が事業の企画から実施までを協力して行うモデル事業を募集するやり方だそうです。この制度は、提案者が自由にテーマを設定してできる自由提案部門というものと、市がテーマを設定して行う市の提案部門というやり方があるようです。ただ、ここのおもしろいところは、事業を進めるに当たっては、補助金だけでやるのではなくて、しっかりと団体が自ら自己資金も捻出してくる。そして、市は負担金を50万円以内と決めて、その必要な額を補助していく。まさに協働事業ということで、市民活動団体、民間事業者の発想を生かした、市と事業の企画から実施までを協力して行う公益性の高いモデルだと思います。県でもこういう提案型の事業をやられていると思いますし、各市の中でもそういう形の事業をやっていると思います。
 改めてもう1度お伺いをしますけれども、団体と市の連携に関してはどのように進めることが理想だということか、改めてお伺いしたいと思います。

市民協働部長(藤川浩幸) 団体と行政との連携というところでございます。
 社会情勢の中では様々な活動での要望ですとかございます。何が求められているかというところで、市民団体からいろいろなご提案もいただいております。そういったご提案をいただきながら、市民活動推進委員会といった組織もございますので、そういった制度の見直しですとか、あるいは行政と団体との連携、そういったところはできるだけお話を伺いながら、必要となる団体に必要な支援をできるような提供をしていければと考えてございます。
 
(久保田英賢議員) ありがとうございました。いろいろ制度も変えてとてもいい事業だと私は思いますし、期待ができるものだと思います。ただ、コロナ禍の問題もあるかもしれませんけれども、若干応募が思っているより少ないと思います。その原因はどのように分析をされているかお伺いします。

市民協働部長(藤川浩幸) 補助金につきましては、毎年多くの団体から問合せをいただいているという状況でございます。この2年間というのは、新型コロナウイルスの感染拡大ということもございまして、市民活動団体が非常に活動しにくい状況でございました。ただ、その中でも一定程度の活用はいただいていると考えてございます。また、PRにつきましても工夫をいたしまして、より多くの団体に活用していただけるように努めてまいりたいと考えてございます。

議長(倉橋正美議員) 久保田英賢議員。
(久保田英賢議員) ここで3つ提案をしたいのですけれども、補助対象事業がどういうものなのかというのがちょっと分かりにくかったりとかもすることがあるのではないかと思います。例えば、よその市の部分だと、保健医療または社会福祉の増進、環境の保全、教育の向上、文化スポーツの向上、子育て環境の充実などなど、そういう形で列挙をしながら、こんな事業を求めていますよということを明記されています。海老名のホームページを見ても、市民活動で引っ張ってくると、補助金のことと補償制度のことしかマッチしなくて、例えば採択された事業がどういう事業が採択されて、どんな活動を行っているのかとかということも一切書いていないのです。まずは採択された事業をしっかりとホームページに載せて、そういう団体の皆さんがどんなことをやられているかというのを知らしめる。そんなことも協働の1つではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 そして、補助対象経費に関しても、他市の中では、上限を設定して、人件費や運営費に多少その補助金を使えるような制度にもなっています。その辺のことをぜひ検討していっていただきたいと思います。
 地域の中には本当にいろいろな方がいらっしゃって、子どもと関わって応援をしていきたい、子どもたちに、スポーツにおいても、ものづくりにおいても、本物を見させてあげたい、そんな体験をさせてあげたい、そんな人々がたくさんいます。また、不登校や発達の凸凹の子どもたちの支援をしていきたい、そんな方々もおります。こういう人たちを私はしっかり応援していきたいと思うし、市もしっかり協働で応援していくべきではないかと思っています。こんな方々にも広く市民活動推進補助金の制度を知ってもらうような、そんな働きかけをしていっていただきたいと思います。
 ちょっと話は替わってしまいますけれども、こういう子どもたちに関わりたいという方々、応援していきたいという方々が、どこが窓口なのか分からないという話をよく聞きます。私は思うところに関しては、こういうのは地域地域のそういう子どもたちを応援していくという中では、学校応援団が、そういうものが窓口としてふさわしいのではないかと思っております。学校応援団の制度とか活動内容に関してお伺いしたいと思います。

教育部次長(澤田英之) 学校応援団についてでございます。
 学校応援団は、学校を拠点としまして、学校、家庭、地域が相互に協力しながら地域の子どもたちと学校を支援するため、平成27年度に組織されたものでございます。小学校全校に設置されておりまして、運営委員長をはじめとしまして、学校長、学校職員、地域コーディネーター、あそびっ子クラブパートナー、図書館指導員、PTA役員、地域の方々によって運営されているものでございます。主な活動といたしましては、えびなっ子スクールやあそびっ子クラブの実施、新入生のサポートなど、学校の求めに応じた支援を行っているところでございます。えびなっ子スクールにおきましては、地域の方だけでなく、社会教育団体や企業などの講師をお願いしまして、毎年様々なプログラムを提供することで、子どもたちに学校ではできないような貴重な体験ができるよう工夫して実施されているものでございます。

(久保田英賢議員) ありがとうございます。
 教育長にお伺いをしたいと思います。子どもたちに本物を見せていく。それはスポーツにおいても、この夏、実はプログラミングとかものづくりのことで有馬図書館にてコラボレーションをして、4日間連続で事業をやろうということが計画されていました。ただ、コロナ禍の中でできなくなってしまったのですけれども、そうやって自分たちの中で子どもたちに本物を見せていきたい、そんな人たちが海老名にはたくさんいると思います。そして、そういう人たちをしっかり応援していきたいと思うのです。1つは、こういう市民活動補助金の部分に関しては、これは市にお願いしたいのは、例えば子どもの育成に関しての部門というのをしっかりつくっていくとかということを考えていってもらいたいと思います。もう1つは、教育の部分で、教育委員会としても何か新たな制度を創設して、そういう地域の方々が子どもたちに本物を見せる、そういう体験をさせていきたい、そんな機会をつくりたいということが必要だと思いますけれども、ご見解をお伺いします。

教育長(伊藤文康) 答弁が長いと言われたので短めに。私が職に就いてから、子どもの成長は学校だけでは、全ては賄えないと思っていて、本当に多くの保護者の方とか地域の方とかPTAの方、またはそのOBの方、みんなで子どもたちを支えてほしいということで、ずっとその考えの下にいます。だから、様々な事業者の方が、大体は議員の紹介が多いのですけれども、いっぱい教育委員会に来て、私はその話を聞いて、ぜひお願いしたい、ぜひお願いしたい。また、一昨年ぐらいは不登校団体の方々も議員を通して話しに来て、では、海老名市教育委員会でメイン後援を取るよ。あとは、こどもセンターの会議室を使えば、会議室の料金がかからないから、ぜひこどもセンターを使ってくださいとかということで、ずっと続けてきました。学校応援団とはちょっと性質が違うので、それとそういう団体の連携は必要かもしれない。学校での外です。
 あと、補助金という意味では、実を言うと、教育委員会は社会教育団体が、幾つかの団体に補助金を出しているところでございます。ただ、そういう中で、様々な方々の話を聞いて、私はメイン後援を出すことによって、どこの小学校にも、要するにチラシとか案内を配ることが可能になりますので、そういうことで、できることを補助してきたのです。そういう中で、ある不登校団体の方々が、実を言うと、私たち資料をつくるのに資料代とかなんかが全然なくて、みんな本当にボランティアなので、個人で出すしかないのだということで、ああ、そうなのですかということで考えたときに、そういう方々を教育委員会が主導という意味ではなくて、1つのネットワークという形でつくって、それが結果として子どもたちの支えになると考えた場合に、先ほど久保田議員がおっしゃるような、何らかの教育に関わる、できればボランティア団体、ただ、何かの事業主が企業として自分でやっているのですけれども、その方々が事業を単独で何々大会を行うとかなんか、そういう場合の補助とか、そういうものについて、教育委員会として今ある市民協働部の事業と調整を図りながら、また、その辺について市長部局とも意見交換しながら、私としては、できればそうやって子どもたちのために、できればボランティアチームの中で子どもたちを支えようという人々の、教育委員会としてもそのネットワークをつくって支えたいという気持ちではありますので、それについては積極的に検討してまいりたいと考えております。

(久保田英賢議員) ありがとうございました。
 市長、市民協働、本当に市民と行政との協働の仕組みは重要だと思うのですけれども、一言いただければと思います。

市長(内野 優) 協働のまちづくりは必要なのです。だけれども、問題は一部で考えると、今までの時代的な流れとかいろいろあろうと思います。行政があまりにもタッチしてもいいのか悪いのか、あるいは行政の下請になっていいのか悪いのか、いろいろあろうと思います。教育長が今言われた学校を取り巻くそういった応援団等、いろいろ部分はあろうと思います。私ども市長部局としては、基本的に全般的なものの中で考えてやっていきたいと思っています。
 しかしながら、1つだけ言えることは、一過性で終わることなく、その団体が長く続いて活動していただくという形で支援をしていますので、そういったことが協働というか、それぞれの団体が自立して活動することによって、それぞれのまちづくりに1つずつ貢献できるのではないかと思っていただきます。直接には関係ないにしても、1つの活動の中を通じて、市のまちづくりの1つの貢献ということもあるのではないかと思っています。これについては、推進委員会でも常に言っていますけれども、先ほど言ったとおり、変えることはどんどん変えていって構わないということでやっています。そういう中で、進化することを望んでいますので、また議員等でも提案があればどんどん受けていきたいと思います。
 
(久保田英賢議員) 協働のまちづくりを進めていく。そして、市長、今おっしゃいましたけれども、継続ができるようなそういう支援の体制をつくる、そんなことをぜひお願いして、この質問を終わります。

令和3年9月15日【今後の地域公共交通と高齢者の移動支援】

2021-09-15

令和3年9月15日 第3回定例会
「今後の地域公共交通と高齢者の移動支援」

(久保田英賢議員)
2点目は「今後の地域公共交通と高齢者の移動支援」についてです。
 市では、令和元年10月から令和3年9月の間で、新たな取組として鉄道駅の利用範囲、駅から半径1キロメートル圏内において、子育て世帯や高齢者などの移動支援を目的とした地域公共交通の実証実験を行っております。今月で実証運行の最終月となりますが、この取組のここまでの利用の傾向などについてお伺いをしたいと思います。先ほどつつ木議員のほうで実績を聞かれていますので、利用の傾向に関してお伺いをします。
また、海老名市では高齢者の移動支援の策として平成22年から本格運行を実施したぬくもり号があります。昨年からコロナ禍で外出を控えるため利用も少ないと伺っておりますが、ぬくもり号など高齢者の移動支援の現状の取組と実績についてお伺いいたします。

市長(内野 優)「今後の地域公共交通と高齢者の移動支援」についてでございます。
 本市では、高齢者や障がい者の外出を支援する福祉車両として、ぬくもり号、さくら号を運行し、多くの方に利用をいただいております。しかし、ぬくもり号の運行開始から11年が経過し、様々な課題も見えてきたため、現在、新たな外出支援事業の在り方を検討しているところでございます。
 なぜかといいますと、コミュニティバスについては交通不便地域という位置づけでやりました。ぬくもり号は福祉的な観点であります。今問題になっているのは、高齢化がどんどん進んできている中で、福祉的な要素が多くなってきていることも事実であります。あるいは、現状の中で運転免許の返納もございますし、様々な高齢者を取り巻く環境が変わってきております。そういった面では、今後在り方について様々検討を指示しております。
 もう1つ、つい最近、神奈中の社長とお会いしたときに、神奈中も今まで運賃を決めていてやりましたけれども、定額でどこでも乗れるという形をやっているそうであります。そういった面で考えると、そういった定額でどこでも乗れるということになると、意外とこれからの高齢者の問題について、そこに支援をする場合もあれば、返納の方にとってプラスだと思いますし、あるいは何といっても、今ある公共交通が廃線とかならないように、利用者が増えていかないといけない。そういった問題では様々出てくると私は思っています。よって、私ども民間の公共交通機関とも常にいろいろな協議を進めておりますし、様々これからの高齢化に向けた形の中で、いろいろな公共交通の事業主、商売をやっている方、あるいはいろいろな方がいろいろそういった形を考え始めている時代になってきている。そういった方々との連携とか、そういったことも必要になってきているだろうと思っています。
まちづくり部所管部分の詳細につきましては清田まちづくり部次長から、保健福祉部所管部分の詳細につきましては鶴間保健福祉部次長から答弁いたします。

保健福祉部次長(鶴間由美子) 保健福祉部所管の部分についての詳細でございます。
 市では、高齢者等の外出支援策として、平成22年からぬくもり号、平成29年からさくら号を運行しております。令和2年度は、コロナ禍での運休、それから高齢者の外出自粛により、利用実績が、令和元年度の延べ利用者数が4万9015人おりましたが、55パーセント程度に落ち込みました。令和3年度は徐々に利用者が戻ってきている状況です。しかし一方で、車両の維持経費や運行ルートが限定的であるため公平性に欠ける等、様々な課題も見えてきております。こうした課題について、現在、まちづくり部、経済環境部、保健福祉部の3部で高齢者等の移動支援について様々な視点からの検討を行っております。検討に当たっては、既存の公共交通機関のほか、今年度実施したワクチン集団接種の移動支援やサロン送迎事業の試験運行の利用実績等も検証し、福祉的な観点での移動支援の在り方をまとめてまいります。

(久保田英賢議員)先ほど実証実験のお話を伺いました。今回で一応終えることとなりますけれども、今回の結果を市としてはどのように分析しているのか、その考えをお伺いしたいと思います。

まちづくり部次長(清田 聡) 今回の結果をどのように分析するかということでございます。
 今回の実証運行は誰でも利用可能な公共交通として実施しておりまして、利用状況につきましては、先ほどつつ木議員のところでご答弁させていただきましたとおり、平均で1日当たり約28人、1便当たり1.9人となってございます。公共交通として運行する場合には、ある程度の採算性を確保したいと考えておりますので、今回の実証運行、公共交通として実施していくことは難しいと判断してございます。

(久保田英賢議員) 2年にわたって無料と有料で試された事業だと思います。駅を中心に鉄道との結節を模索しながらやった事業だったと思いますが、結果としては、先ほどのお話もありましたけれども、海老名駅志向が強いというところでは、これだけ鉄道が張り巡っているすばらしいまちでありながら、皆さん、海老名駅に行きたい、そんな結果が少し出てきたのかなとも思います。実証を行った地域の皆さんは、これが発展するのではないかと思っていると思うのです。この後、何か違う展開になるのではないかというところも思っていると思いますので、やめるということの選択も1つの中では、ぜひ地域にしっかりとお知らせをしていっていただきたいと思います。
そして、ぬくもり号でありますけれども、これも平成22年から本格運行になった事業であります。この事業の現状を改めてどのように分析されているか、お伺いしたいと思います。

保健福祉部次長(鶴間由美子) ぬくもり号の利用者数については、先ほど申しましたが、コロナの影響で、昨年度、今年度減少しておりましたが、令和元年度までの延べ利用人数は年々増加しておりまして、一定のニーズはあるものと認識しております。しかし、ルートが限定的である等の課題もありまして、福祉的な観点からの高齢者の移動支援としてはまだまだ検討の余地があるものと認識してございます。

(久保田英賢議員) 11年間ぐらい運行されている中で、どんな目的で利用される方々が多かったか、どのように把握をされているか、お伺いしたいと思います。

保健福祉部次長(鶴間由美子) 乗っている方に対してのアンケート、それから寄せられた声などを見ますと、利用の目的は、通院、それから買物、それがもうほとんどの目的を占めてございます。

(久保田英賢議員) 分かりました。ありがとうございます。今いろいろお話の中で車両の維持経費とか運行ルートなどの様々な課題があるというお話もありました。これは具体的に車両の維持経費とか運行ルートというところに関しての課題をもう少し明確にお伺いしたいと思います。

保健福祉部次長(鶴間由美子) 車両につきましては、ぬくもり号が運行開始から11年経過しておりますので、メンテナンスにかかる費用の負担が大きくなっております。また、今後車両の更新、新車に買い換えるなどの費用も継続するには見込まれるところでございます。また、ルートが公共交通等と重複するルートがございまして、あと特定の地域のみの運行となっておりますから、移動支援が必要な多くの高齢者にとっては公平性の観点からも課題があると認識してございます。

(久保田英賢議員) そういう課題があるという中で、このテーマにおいては、過去からいろいろと庁内でも議論をされてきていると聞いています。平成元年5月から約8回開催された都市計画課と福祉政策課で、ぬくもり号、コミュニティバス庁内ワーキンググループという会議で、それぞれの課題に関して議論を行ってきたと聞いています。どんな議論をされてきたのか、お伺いしたいと思います。

まちづくり部次長(清田 聡) ぬくもり号、コミュニティバス庁内ワーキンググループは、市内の公共交通網の在り方を庁内横断的に検討することを目的といたしまして、令和元年度に実施したものでございます。内容といたしましては、コミュニティバスやぬくもり、さくら号の課題の共有、今後の移動支援施策の方向性等の検討を行ったものでございます。ワーキンググループでは、既存の路線バスやコミュニティバスといった公共交通を補完する役割といたしまして、高齢化に対応してきめ細やかな移動支援が必要としてまとめてございます。

(久保田英賢議員) ありがとうございます。そうすると、そのワーキンググループの結論としては、高齢化に対応したきめ細やかなそういう高齢者の移動支援が一番重要であろうというところになったということで理解をしております。
 その中で、今回実証実験が終わって、ぬくもり号の課題も出てきている。そして、答弁の中で、今後、保健福祉部、まちづくり部、経済環境部の3部で高齢者の移動支援に関して検討を行っていくというお話がありました。今後どんな目的で、どんな検討をしていくのか、それぞれの部がどんな観点から検討に加わっているのかというものを、保健福祉部、まちづくり部、経済環境部の順でお伺いしたいと思います。

保健福祉部次長(鶴間由美子) 今回の検討に当たりましては、保健福祉部としては、福祉的な観点から高齢者や障がい者の移動支援の在り方を具体的に検討してまいりたいと考えております。ここでは、ぬくもり号の今後の在り方をはじめ、民間のNPO等が運行する福祉有償運送と既存の福祉的な移動支援も視野に入れた研究をしてまいりたいと考えてございます。

まちづくり部次長(清田 聡) まちづくり部といたしましては、交通事業者、それと国土交通省関東運輸局などとのつながりも含めまして、コミュニティバスの運行などでのノウハウが蓄積されてございます。そういった点から、道路運送法などの法的な取扱いなどについて整理をすることが主な役割と認識してございます。

経済環境部長(金指太一郎) 先ほどの答弁にもありましたけれども、高齢者の外出の主な理由といたしましては、買物、通院、それからレジャーと大きく3つと認識してございます。経済環境部では、高齢者をはじめ妊産婦など、買物弱者支援の面から検討を進めてまいりたいと考えてございます。

(久保田英賢議員) それぞれの部でそれぞれの観点でというところで伺いました。今の買物の点、移動の支援ということではないのですけれども、買物弱者の部分に関しては、お隣の座間市では、商店街で買物不便地域に買物バスを運行している。これは民間の商店会、民間の方々がやっている。民間でやっている業者は、実は海老名に本店があるスーパーであります。これはもうノウハウがありますね。実際にやられています。そういうノウハウがあるので、海老名の中でも、そのスーパーの周りには、肉屋、魚屋、和菓子屋、ドラッグストア、それぞれの生活に密着したようなお店もあります。実証でも構いませんので、ぜひ海老名でやっていただきたいと思いますけれども、ご見解をお伺いします。

経済環境部長(金指太一郎) 今の議員ご紹介いただきました事例については私ども承知してございます。議員のご提案の事例も参考にしつつ、本市の公共交通網、地形、あるいは高齢化率、既存の店舗の配置状況、それから自治会等を十分勘案して、買物弱者への支援方法を検討してまいりたいと考えてございます。

(久保田英賢議員) ありがとうございます。ノウハウがある民間のそういうノウハウはしっかりと研究をさせていただきながら、ぜひ実施につなげていっていただきたいと思います。まずやるかやらないかで市民の皆さんの動き方は違うと思いますし、民間の力を借りることで、行政だけではできないことができると思いますので、お願いをしたいと思います。
 あわせて、全国では、山間部とかそういう不便地域だけではなくて、移動のスーパーマーケットなんていうものも大手の協力の下、できていると思います。ネットスーパーもすごく便利でいいのですけれども、コミュニティということを考えると、そういうバスで買物に行くだとか、もしくはそういう移動スーパーが来たときに出ていくとか、そういうお出かけという観点は非常に重要だと思いますので、海老名にも大型のスーパーもありますので、ぜひそういうところと協力しながら、移動スーパーマーケットなんていうのも検討いただきたいと思います。
 いずれにしても、高齢化の問題で、高齢者の移動支援を中心にこれから海老名としては考えていくよというお話だったと思います。ただ、公共交通に関しても、駅やバスまでの不便という場所も出てきています。そこまで行くのがちょっと大変だ。そこまでの足が欲しいということに関しても、引き続きそのグループの中でお話をしていっていただきたいと思います。
 元気な高齢者の方が元気でい続けていただくためには、お出かけということは非常に重要だと思いますので、お出かけするにはその足というのが、自立が難しい人の支援ばかりではなくて、元気な人の支援もすることによって、いつまでも元気でい続けられる、そんなことをぜひお願いしたいと思います。
 福祉の面で、先ほど新しい研究をされるということがありました。福祉有償運送の話がありましたけれども、今現在、これはどんな内容で利用されているのか、その実績をお伺いしたいと思います。

保健福祉部次長(鶴間由美子) 福祉有償運送は、1人で公共交通機関を利用することがちょっと難しい障がい者、それから要介護者などを対象に、民間のNPO法人等が有償で提供する輸送のサービスでございます。本市においては、市社会福祉協議会とNPO法人の2団体が運行しておりまして、いずれも会員制、完全予約制で、外出先での見守りや同行等の支援も受けられることが特徴となっております。利用実績につきましては、令和2年度は2つの団体合わせまして約430人の会員登録がありまして、約6400回の利用があるとの報告を受けております。

(久保田英賢議員) ありがとうございます。家から目的地までドア・ツー・ドアで行けるサービスだということで承知しています。社協がやられている中では、片道500円なんていう値段で行けるということを聞いていますし、ただ、私の懸念するところは、この資格、1日で講習が受けられて、移送する車が白ナンバーだというところにあります。もちろん国の制度としてあるから、それはそれだと思いますけれども、そういう点も考えながらご検討していっていただきたいと思います。
 今後の高齢者の移動支援ということに関して、市は具体的にどういう考え方を持っているのか、お伺いしたいと思います。

保健福祉部次長(鶴間由美子) 特に福祉的な観点からの高齢者の移動支援でございますけれども、一口に高齢者といいましても、利用する方のお体の状況ですとか自立の度合いなど、様々な生活のニーズもありますから、それぞれに配慮したきめ細かい支援の検討が必要であると考えてございます。今後につきましては、ぬくもり号の在り方、それから福祉的な観点での移動支援について、より情報収集をしますとともに、地区社協等をはじめ地域の方にもご協力をいただきまして、高齢者の移動支援が地域づくりにもつながるような仕組みづくりを検討してまいりたいと考えております。

(久保田英賢議員) ありがとうございます。福祉的な観点からというお話がありました。繰り返しになりますけれども、高齢者でも元気な方、そしてちょっと元気ではない方、寝たきりの方、それぞれいらっしゃると思います。そういう方々を見たときに、どういうサービスがマッチするのかということ、その辺の観点をしっかりと考えていっていただきたいと思います。
 1つご紹介をさせていただきます。もともと豊田市でもやられている事業であるのですけれども、市内でガーデン薬局という薬局を運営されている株式会社メディカルガーデンと、そしてハートフルタクシーが提携によって、移動や買物にお困りの方々を支援する海老名お出かけ支援プロジェクトというのを始められるということです。これが10月4日から試験運行となるのですけれども、メディカルガーデンとハートフルの企業の社会的責任として、高齢者のお出かけの機会をしっかりつくっていこうということで、自ら民間の中で事業を行われる。
 これはすごいところが、ドア・ツー・ドアの利便性が確保されている、AIによる乗合運行システムのチョイソコというトヨタグループのアイシンのシステムを導入しての実施になります。チョイソコというのは、お客さんから依頼があったときだけ走行するデマンドの方式であります。ぬくもり号のように、定時、定路線で、お客さんが乗っていないときにも走行する必要があるけれども、チョイソコはお客さんの依頼に合わせて任意の場所から任意の場所まで気軽に効率よく移動することができる。これは2018年の愛知県豊明市で運行が開始されて、全国で今20か所以上導入実績があるそうであります。災害協定を結んでいる豊田市でも10月4日から運行開始となります。ぜひ民間の活力を借りながら連携をしていっていただきたいと思いますが、最後に市長、ご見解をお伺いします。

市長(内野 優) 先ほど経済環境部長が言った商店街の関係で、私も知っていますし、座間でもそれを見ております。そういった面では、国の補助金か、県の補助金がちゃんとしっかり出ているということも聞いておりますし、そういったものについては、商工会議所等も積極的に導入を進めていただきたい。それについて支援できる部分については支援していきたいと思っています。
 そして、今言われたガーデン号についても、私もつい最近訪問を受けました。そして、お話をしているときに思ったことは、いいことだなと思っています。運行するのがしっかりした会社であるということと、もう1つは、そういったデマンドで玄関からその場所までという話でありました。そういった中で、議員おっしゃるとおり、いろいろな形が高齢者のためにとってどうなのかということで動き始めてくる。その総合トータルとして海老名市もぬくもり号をどう運行していくのか。様々な点があると思います。そうした中で、総合的に利便性が向上することによって、高齢者が元気な高齢者であってほしいという形になるのでないかと思っていますので、そういう部分については、この間お会いしたときにも、実証実験という形になっておりますので、どういう形でやられるか、どういう結果が出ているか、そういうことも私どもにちゃんとご報告をお願いしたいという形をお願いしてありますので、総合的に見ていきたいと思います。以上であります。

久保田英賢議員) ぜひよろしくお願いします。終わります。