令和3年6月14日【災害時に備えた災害協定の現状と今後】
令和3年6月14日 第2回定例会
「災害時に備えた災害協定の現状と今後」 R3.6.14
「災害時に備えた災害協定の現状と今後」についてです。
2011年3月11日に発生した東日本大震災から今年で10年がたちました。避難者数は2021年2月現在で約4万人、仮設住宅の入居戸数は931戸と、いまだに震災前の日常を取り戻せていない方々が大勢いらっしゃいます。ここ近年でも、地震、台風、大雨などによる自然災害の被害は数多く発生しており、被害の大きさも年々想定を超えるものとなってきております。災害はいつ起きるか分からない、そのための備えを万全に尽くす必要があると思います。
平成29年6月定例会、令和元年9月定例会において、災害対策について一般質問をさせていただき、市では、災害時の備えとして、市だけでは対応できない復旧復興を想定し、各企業や団体などと災害協定の締結をしており、協定締結後、協定の締結先と様々な取組をされているとお伺いいたしました。その後、現在の災害協定先はどのように変わってきているのか、現状についてお伺いいたします。
市長(内野 優) 久保田英賢議員のご質問にお答えいたします。
「災害時に備えた災害協定の現状と今後」についてでございます。
本市では、災害時における応援について、他都市や民間事業者など102団体と協定を締結しております。災害により大きな被害を受けた場合、市単独では早期の復旧復興が困難なことから、災害協定は非常に大切であると認識しております。最近では、地域貢献の一環として、民間事業者からの申出により災害協定を締結させていただく機会が多くなっており、民間事業者の意識が高まっているものと感じております。先月締結した民間事業者における災害協定では、大規模地震等の災害時に、県外相互応援協定都市、10都市との支援物資等の陸上輸送が困難な場合の手段として、航空機の活用が可能となっております。いざというときには、非常に頼りになると考えております。自治体間の相互応援協定は、近隣のみならず、姉妹都市をはじめとして県外10都市とも締結し、お互いに助け合える体制を取っております。なお、現在、市制施行50周年を契機として、新潟県新発田市と協定締結に向けた調整を進めているところでございます。
(久保田英賢議員)
市単独で早期復旧や復興が困難であることから、災害協定が有効な手段であるということはお伺いしました。そして、協定先が102団体あるということで、この102団体の業種などのカテゴリーはどのようになっているのか、そして、どのような目的でその102団体と締結されたのか、お伺いしたいと思います。あわせて、10都市の協定先の選定の理由に関してもお伺いしたいと思います。
危機管理担当部長(二見裕司) 災害協定は、大規模災害発生時において、市単独で応急活動等を遂行できない事態を想定いたしまして、他の市町との相互応援協定を締結するとともに、民間企業等の事業分野に応じて多岐にわたる協定または覚書を締結しているところでございます。構成につきましては、自治体相互の応援協定のほか、生活必需品、飲料水、応急復旧対策、医療救護活動、施設提供など15のカテゴリーで102件の災害協定を締結しております。締結件数の多い主なものといたしましては、大規模災害時において、避難者や要配慮者のための施設提供を要請できる施設提供が26件ございます。このほかに、災害が発生した場合における応急復旧対策に特化した業務が24件、生活必需品の調達や供給に特化した業務が13件でございます。
次に、相互応援協定の締結先につきましては、姉妹都市としてトライアングル協定を締結している白石市、登別市のほか、茨城県那珂市、茨城県桜川市、愛知県東海市、山形県白鷹町、愛知県豊田市、長野県須坂市、群馬県太田市、北海道羽幌町の合計10市町でございます。
なお、選定理由についてですが、相互に協力し合うという意味では、原則的に同時に被災しない位置にある自治体、いわゆる経済圏が異なる自治体と協定を締結しているところでございます。
(久保田英賢議員) ありがとうございました。15のカテゴリーで102の団体と締結されているということで、この15というカテゴリーが、果たして災害時のところでは足りているのかどうなのか、また、その協定の数も今後増やしていこうと考えているのか、都市も含めてお考えがあればお伺いしたいと思います。
危機管理担当部長(二見裕司) 災害協定の締結数につきましては、多いことにこしたことはないと考えております。しかし、締結数を増やすよりも、大規模災害発生時における被害想定や避難者のニーズ等をしっかり見極めて、適切なカテゴリーの事業者と災害協定を締結することが何より重要だと考えております。例えば、昨年、一昨年と民間の2事業者と締結させていただいた、災害時におけるモバイルバッテリー等の電子関連物品等の提供につきましては、10年前、20年前では想定されなかったものでございます。現在のニーズを踏まえたものと言えると思います。今後においても、避難者ニーズ等を適切に捉えながら、適切な事業者と災害協定を締結してまいりたいと考えております。
(久保田英賢議員) ありがとうございます。まさに災害の種類によって、地震なのか、もしくは大雨なのかによっても、その支援や復旧時に必要なものは変わってくると思いますし、この点に関しては、様々な事柄をぜひ想定していっていただいて、カテゴリーを追加するなり、災害協定先を増やすなりということをしていっていただきたいと思います。
都市のところで1点お話をさせていただきますと、他都市との連携の部分で、トライアングルの白石と登別においては、民間の協定も進んでいると思います。例えば少年野球は交流試合をやっているということなのですけれども、それ以外の都市との民間の交流は今まだなされていないようにも思います。10都市の中で、また民間的なつながりがないような都市とは、ぜひ少年野球だとか、スポーツとか、そういうものを通じて、まずは日頃からの交流もしていっていただけるように、永井議員からお願いをされましたので、ここでお伝えさせていただきます。
協定締結した後、締結をまず交わしますけれども、その後は私は非常に重要だと思っています。締結後、顔を合わすことがなかなかないのかと思っておるのですけれども、協定を締結した後、平時、日常において、102の締結先とどんな連携を取っているのか、企業、団体、他都市との状況についてお伺いをします。
危機管理担当部長(二見裕司) 協定先の市町との日頃からの関係については、今後、広域避難とか、そういう点もございますので、日頃から市民同士が交流を持っているのは大切ではないかなと思います。また、平時における連携といたしましては、災害協定締結後、顔の見える関係を築くために、2年に1回連絡を取って内容を再確認いたしまして、協定を更新しているところでございます。また、相互応援協定の締結先市町とは、地震災害においては、おおむね震度4以上の地震が発生したという情報がありましたら、被害状況とか、支援要請の有無などを相互に確認を行っております。
(久保田英賢議員) 今、ご答弁の中で、締結をした相手と2年に1回の顔の見える関係づくりというご答弁がありました。ちょっと、私、少ないのではないかと思います。災害はいつ起こるか分からないことと、あと、市の職員もそれぞれ異動もあると思います。そう考えると、少なからずとも、半年に1回は何か双方の確認作業とか、情報交換は必要ではないかなと思うのですけれども、そもそも災害協定先に対しての市の窓口はどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。
危機管理担当部長(二見裕司) 市の災害協定の窓口につきましては、災害協定の条文において、支援要請の伝達を正確かつ円滑に行うため、双方の連絡責任者を定めているところでございます。市の連絡責任者の内訳といたしましては、102件の協定のうち、75件、約74パーセントが危機管理課長で、残りの27件は、各所管課の課長等が連絡責任者となっているところでございます。
(久保田英賢議員) 102件のうちの75件、約74パーセントが危機管理の課長が窓口で対応しているということは、先ほど来話している平時の連絡体制が大事だというところの中では、危機管理が74パーセントを担うという部分に関してはいかがかなと思います。この件に関しては後ほどまたお話しさせてもらいます。
1つ具体的な例で話をさせていただきます。海老名市建設業協会の役員と我が会派の森下賢人議員と一緒に意見交換をさせていただきました。その際、東日本大震災においても、建設業の復旧復興で担った役割はとても大きいものであったという話を建設業協会の方々はされていました。市建設業協会も、この災害協定について、より実効性のあるものにしていきたいということで、現場の窓口と話をしていきたいというお話がありましたけれども、市建設業協会との取組に現状に関してお伺いしたいと思います。
機管理担当部長(二見裕司) 市建設業協会とは、応急対策活動等の協力に関する災害協定を締結させていただいているところでございます。こうした中、市建設業協会から、大規模災害が発生した際、協定に基づいた協力体制をより実効性のあるものにしたいという申出がありました。先日、協会役員と、まちづくり部、市長室危機管理課と3者で打合せを行ったところでございます。市といたしましても、これを機に万が一の災害に備えまして、協定先と連携を密にしていくことは望ましいことだと考えております。
(久保田英賢議員) まさに協定を結ぶということの重要性もあると思うのですけれども、協定を実効性のあるものにするためには、今回、協会と危機管理、そしてまちづくり部が、平時に定期的に打合せを行ったということは非常に重要なことだなと思います。この打合せ、具体的にどんなものだったのか、今後の方向性とか、もしくは課題に関して、建設業協会の窓口になっているまちづくり部長からご説明をいただきたいと思います。
まちづくり部長(谷澤康徳) 建設業協会には、大雨、大雪、こういったときの対応で非常にご協力をいただいているところでございまして、せんだって、打合せをさせていただきましたけれども、現状の課題としましては、市の建設業協会は、神奈川県の災害協定も結んでいまして、そういった重複することによる調整が必要だということだとか、災害の事象ごとで対応が違ってくる、さらには、より円滑な連絡体制の構築、こういったものが課題として挙げられました。実際に、それに対しては、緊急巡回をやるときのエリア設定だとか、災害の事象ごとの詳細な対応方策、さちには、情報発信だとか、連絡体制の明確化、こういうことを整理するといった目的で、我々はこのとき出ましたけれども、状況を熟知している現場の各担当が集まって話し合いをして、詳細な事項を詰めていくほうがいいのではないかとなりまして、現在、その方向で動き出しております。
(久保田英賢議員) ありがとうございます。実効性あるというのは、平時のときにいかに打合せができているか、訓練ができているかということだと思いますので、ぜひ進めていっていただきたいと思います。
災害時の全体を仕切る役目とか、協定に関して全体を把握する役目が、恐らく危機管理課の役目だと思います。万が一災害が起きたときは、市が災害対策本部が立ち上がって、先ほどのカテゴリー別に協定先との市の窓口が連携していくことになるのだと思います。先ほど伺った中だと、そういう中で、危機管理課自体が74パーセントも窓口を担っているという部分に関しては、なかなかスムーズにその流れが行かないのではないかと考えます。それはなぜかというと、私は先ほどまちづくり部の1つの例がモデルになると思いますので、そういう平時の打合せを含めて、危機管理が窓口になっているのがそれだけ多いというのはどうかなと思います。市の窓口として、災害対策本部ができ上がったときに、各危機対処の部で事前に打合せしたほうがよいというものが、私は一覧を見ても感じさせていただいたのですけれども、危機管理としてその考えに関してどのように考えるかお伺いします。
危機管理担当部長(二見裕司) 議員ご指摘のとおり、協定書の内容によっては、危機管理課ではなく、他の危機対処の部で連携を図っていただいたほうが、実災害のときにスムーズに活動が行くものと認識しております。この件に関しましては、今後整理が必要であると考えておりますが、協定先のご意向等もございますので、その辺も確認しながら、慎重に進めてまいりたいと考えております。
議長(倉橋正美議員) 久保田英賢議員。
(久保田英賢議員) どれだけ日頃、顔を合わせたり、連絡を取ったり、そのときのことを想定していることが共有できているかということが、市としても、その協定先としても重要なことだと思います。起きたときに初めてこんにちはではやっぱり困るわけで、そうではない、そのためには、市のそれぞれの部署がそれぞれの自分の業務を担うところの場所と連携を日頃から取る、ぜひそのことをしていただきたいと思います。そういう過程の中で訓練というものも非常に重要になってくると思います。協定先と含めた、連携の訓練はなされているのかどうなのか、お伺いしたいと思います。
危機管理担当部長(二見裕司) 訓練につきましては、昨年度はコロナ禍のため、予定していた全ての訓練が中止とせざるを得ませんでした。例年、市では、災害等の緊急時において、庁内での横断的な連携による組織の立ち上げ、それと、適切な初動対応を迅速に行うためのオペレーションセンター訓練、それと毎年9月に各避難所予定施設で実施する避難所運営訓練など、年間を通して様々な訓練を実施しております。このため、これらの訓練に災害協定先との連携等を含めた内容を盛り込むなど、様々な手法を今後研究していきたいと考えております。
(久保田英賢議員) 重ねてになりますけれども、災害が起きて、担当の窓口がどこなのかということに関しては、事前に分かっていることだと思いますが、そこの担当者と市の担当者が全然コミュニケーションが取れていないというところは、やっぱり実効性があるものにはならないと思いますし、そのためには、日頃市がやっている訓練の中の1つ、ちょこっとでも、災害協定先と市の担当部署との連携の訓練とまでは言わないにしても、情報交換等意見交換等に関してはぜひやっていっていただきたいなということを重ねて要望させていただきます。
あわせて、災害が起きた際に協力いただく協定先は、健全に事業が発展していってもらう必要が私はあると思います。例えば神奈川県とか、厚木市、横浜市などの自治体では、災害協定先に限っての市の指名入札に参加できる制度があるように聞いております。例えば市の建設業協会に加入している業者に限って参加ができる入札があるようなこと、このような制度もあると思いますので、何かのときにしっかりと役割を担ってもらう様々な市の協定先の方々に対しては、健全に事業を発展していっていただく必要があると思うので、そういう点に関してもぜひご検討をお願いしたいと思います。
いろいろお話をしましたけれども、協定先、平時から顔の見える関係づくり、訓練等のお話をさせてもらいました。私は2年に1回の顔の見える関係に関しては、ちょっと少ないと思いますけれども、市長の見解をお伺いしたいと思います。
市長(内野 優) 担当は2年に1遍という形ですけれども、今、コロナの関係で、全国とか、関東の会議はありません。通常におきますと、全国市長会や関東支部の総会や、様々ありまして、災害協定を結んでいる市長とは確実に年一、二回会っております。そういったときに、そもそも協定した都市は、私が関東支部の支部長をやったり、全国市長会の副会長をやったときにいろいろ交流を図った市であります。そのときに1つ考えるのは、どこでもいいという話ではありません。先ほど言った被災が一緒にならないように、経済圏が違うということ、それから、交通の便としてどうかという問題であります。
豊田市は、人口が40万人以上で、世界でも知れ渡っている市でありますけれども、なぜできたかというと、そういった形の中で、第二東名の出発が豊田市なのですね。今、第二東名の終着は南ジャンクションで海老名なのです。そういった関係の中でやっていこうよという話がありまして、そういった形で結びました。あるところは、ほかの市、町でも来ています。九州の長崎のある市では、やらないかと。九州までこっちが手を伸ばすのはすごい大変なのですね。あるいは四国の町からも来ておりますけれども、そういった部分で、様々な点で、海老名が災害があったときにどうやって行くかという形のシミュレーションの中で、担当が考えた中で、そういった交流があるところについてはやっていきたいと思っています。今後も、こういったコロナの関係がありますから、それがある程度収まった段階では、議員がおっしゃるように、2年に1遍ではなくて、本来は1年に1遍、災害協定を結んでいる担当者が集まって、今年はどこどこの町、次の年はどこどこの市で、お互いそういった交流というか、意見交換を図ることは絶対に必要になってくるだろうと思っています。
(久保田英賢議員) ありがとうございます。ぜひお願いしたいと思いますし、先ほどの団体もしくは企業との市の窓口の連携に関しては、まちづくり部がまさにモデルとして始めていただいておりますので、そのような内容でぜひ全部の中で動いていっていただければと思います。
最後に、BCPに関しても今日お伺いをしたかったのですけれども、これはまた次回にさせていただきたいと思います。災害時には、復旧復興とともに、市の業務をどうやって継続していくかということの計画も非常に重要なことになってくると思いますので、今後またBCPのほうもしっかりとつくっていっていただくことをお願いして、終わります。
令和3年6月14日【海老名市の農地の現状と今後のあり方】
令和3年6月14日 第2回定例会
「海老名市の農地の現状と今後のあり方」について R3.6.14
(久保田英賢議員) 政進会の久保田英賢でございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い市政に関する一般質問をさせていただきます。
1点目は「海老名市の農地の現状と今後のあり方」についてです。
海老名市でも田植えが始まり、きれいな田園風景が見られる季節がやってまいりました。SNSの投稿を見てみると、美しい田園風景に集まる野鳥や、大山を望む田園風景の写真などを多くの方が投稿されており、この景色が心の癒しになるなど、田園風景を愛するコメントが多数書かれております。少し前になりますが、市が行ったイベントの際の中学生のインタビューで、海老名の好きなところはという問いに対して、ちょっと都会でちょっと田舎なところとの答えがありました。まさにこの田園風景こそが、ちょっと田舎を指していたのではないでしょうか。
しかし、この農地を維持しているのは、土地の所有者である農家であり、放っておいて農地が維持できるわけではありません。農地を維持していただいている農家の現状は、総農家数687軒で、専業農家数は109軒とのことです。市内の農地の現状を見ると、平成29年のデータで524ヘクタールと言われており、水田が約2320反、畑が約2800反で、市域面積の約5分の1を畑や水田が占めております。圏央道の開通など交通網の発展により、流通業務の総合化及び効率化の推進に関する法律、いわゆる物効法の適用によって、市内南部地域の水田に大型物流倉庫が開発されるなど農地の減少が進んできております。全国的にも農業、農地を守るということに関し、高齢化の問題や後継者不足、もしくは担い手不足とも言われております。海老名市では、今の農地の現状をどのように考えているのか、今後、この農地をどのように維持保全していこうと考えているのかお伺いをいたします。
以上のテーマにおいて、内野市長の明快なるご答弁をお願い申し上げ、この場からの質問とさせていただきます。
市長(内野 優) 久保田英賢議員のご質問にお答えいたします。
「海老名市の農地の現状と今後のあり方」についてでございます。
農業振興を図る上で農地は必要不可欠であり、都市においては、景観形成、保水、防災機能など多面的な機能を有していることからも、農地の維持保全は重要であると考えております。しかしながら、今、海老名の農地が大変少なくなってきている状況がございます。これは、議員おっしゃるとおり、物効法によって倉庫ができたり、様々、農地であっても利用が図れるという形もあるわけであります。そういった中で、農業以外の利用が厳しく制限される制度として、農用地区域の指定がございます。私ども、こういった農用地に指定していただくことについては、支援を行っていきたいと思っております。また、収益性の高い安定した農業経営を図るためには、農業者等に対して、各種支援施策を実施するとともに、農業基盤整備による作業の省力化等を図ることで、農業者の営農意欲の向上につなげ、農地の維持保全にもつながっていくと思っているところでございます。
(久保田英賢議員) 市長、ご答弁ありがとうございました。
今、市長の答弁の中でも、農地の維持保全は重要だということのご答弁がありました。農業振興プランの中でも、農用地及び集団化された優良な農地はもとより、市街化区域における生産緑地を含めて農地の適正な管理を図っていく対策が今まで以上に必要であるということが書かれております。冒頭でもお話ししたように、今、海老名の農地は約524ヘクタールである、この保全していくべき農地をどこの農地として考えているのか、また、完全に農地を保全するならば、農用地を増やすしかないと思いますが、まず、市として農地のゾーニングというものはできているのか、そして、市全体の農用地の計画の図面などは作られているのか、また、農用地拡大についてどのように考えているかお伺いいたします。
経済環境部長(金指太一郎) 農地の保全ということです。今お話しいただきましたように、農業振興プランの中でも位置づけておりますけれども、特に農地保全を含む農地の土地利用や土地基盤整備等については、海老名市農業振興地域整備計画に基づき進めているところでございます。市の農地保全の方向性でございますが、農用地区域指定による農用地をはじめ、集約化、あるいは連担している優良な農地についても将来にわたって維持保全をしてまいりたいと考えてございます。また、現在、北部、中部、南部、それから、本郷地区に農用地区域を設定しておりますけれども、農用地区域の拡大につきましては、農用地区域の周辺農地などを新規に農用地指定し、編入、いわゆる区域拡大を行ってまいりたいと考えてございます。なお、農地指定のエリアにつきましては、特に現在のところ、ゾーニング等については行っていない状況でございます。
(久保田英賢議員) ありがとうございました。まさに農地を守るという部分に関しては、どこの農地をどういうふうに守っていくかという、市の考え方が非常に重要だと思います。都市計画法第18条の2に位置づけられる都市マスタープランというものが海老名市でも作成されてあって、令和2年の4月に改訂版を出されております。この中でも自然、都市環境の形成方針の中で、農地の保全活用に示されております。都市マスタープランとは、望ましい将来の都市像を描き、その実現のための都市づくりの方向を総合的に示すものということが書かれておりまして、私はぜひその中で、都市マスとはまた別なのですけれども、先ほど来言っている農地のゾーニングを市がしっかりとして、どこの農地をどういうふうに残していくのかというものは必要だと考えております。とはいうものの、先ほど登壇でもお話をさせてもらったように、農地というものは農家の所有物であります。農家の私権を考えたときに、農用地拡大を進めるというものに関しては非常に課題が大きいものになってくるかなと思います。農用地拡大を図るためには、今どんな取組をしようとされているのか、また、どのような課題があると思われているのか、お伺いしたいと思います。
経済環境部長(金指太一郎) 農用地拡大の取組と課題ということでございます。新たに農用地区域に指定する場合には、まず、おおむね5ヘクタール以上で、先ほどもありましたけれども、集団化、それから、連担されている農地で、機械化による営農が可能な土地などの一定の条件がございます。その上で、これらの条件を整えた農地であっても、先ほど来お話がありましたように、それぞれの地権者の意向が様々でございますので、この合意形成が最も課題と認識してございます。農用地区域の拡大の取組といたしましては、地権者の意向を踏まえ、農用地指定を進めるだけではなく、市で農用地指定エリアを設定する、今、議員からもご提案がありましたけれども、そういう形をとって、地権者の理解や合意形成を図っていくことも必要であると考えてございます。
(久保田英賢議員) まさにここを、農地保全をしていきたい、市民の皆さんからは、農地の風景、海老名市の風景が本当に素敵だということがあったにしても、やっぱりその農地は農家のものであり、その農家のご理解がなければ、なかなか保全も難しいところもあるということは理解をしております。だけど、市がしっかりと保全に関する考え方を明らかにしていかないと話は始まっていかないと思いますし、ゾーニングという言葉を使わせていただいておりますけれども、市がしっかりその計画の作成を進めていくことはぜひお願いしていきたいということを重ねてお願いします。
農地の保全に関しては、農業委員会も関わりがあると私は認識しております。高齢化などによって担い手がいなくなっている場合には、農地を耕作以外のものに活用したいという意向も出てきていると理解しておりますし、いわゆる農転というものだと思いますけれども、このような農家のそれぞれの意向に関しては農業委員会の役割が重要になってくると思います。各農家の意向をどのように把握されているのか、その取組に関してお伺いしたいと思います。
農業委員会事務局長(中山康一) 私のほうからお答えさせていただきます。
現状で担い手に不自由している方の持っている農地の把握ということでお答えさせていただきますけれども、ご質問の農地につきましては、毎年8月に、荒廃農地解消のための農地パトロールを実施しております。それから、毎年末、12月から1月にかけまして、農家基本台帳の更新を行っておるのですが、その際にアンケートをお配りして情報を集めているという形になっております。
(久保田英賢議員) そのパトロールであるとか、もしくはアンケートというお話がありました。じゃ、実際、そこでそれぞれ農家のご意向が集められた場合には、その情報は具体的にどういうふうに活用されているのかお伺いしたいと思います。
農業委員会事務局長(中山康一) パトロールで担い手がいないため、荒廃したと分かった農地、それから、アンケートで、経営を縮小したいと回答した人の農地でございますが、地区担当の委員が周辺の耕作者や、経営を拡大したいとアンケートで回答した農家との結びつきを働きかけてございます。また、パトロールやアンケートだけでなく、現在は農政課、農業委員会、JAの3者協定によります連絡ネットワークがございます。そこを経由して新規の就農者が担い手になるということもございます。
(久保田英賢議員) ありがとうございます。結びつけを農業委員会のほうで、農業委員さんたちの情報を基にされているということは、予算の委員会のときにも質疑をさせていただいて、お伺いしました。そのときに、数字をお伺いしたときに、規模を拡大したいという農地あっせんの意向調査で、28軒の人が規模を大きくしていきたいという話があってということを聞きました。逆に縮小したいという意向が66軒あるということもお伺いしました。こういうものをマッチングされていこうというところがお考えなのかと思いますけれども、その点に関して改めてお伺いしたいと思います。
農業委員会事務局長(中山康一) 現在の農業委員会は、平成28年から新制度に移行しておりまして、役割としては、農地の権利移動の許可とか、農地転用の関係について意見をつけるとか、それに加えまして、やはり今、利用調整活動と言っていますけれども、担い手と、それから、農地を農業として使いたいのだけれども、誰かに任せたいというような方への結びつけというのが使命としてクローズアップされておりますので、ご質問のような内容の活動を今やっているというようなことでございます。
(久保田英賢議員) 農地は守っていきたい、だけど、高齢化が進んでいたり、もしくは担い手が不足しているという中で、その農地をどう守っていくのかということが本当に重要になっていくと思いますけれども、そのアンケートの中で、経営志向の中で、専業でこのまま行くのだという数が16.7パーセント、農業を中心に兼業でしていくのだということのアンケートが26.4パーセントと、合わせて43.1パーセントの方が、何とか農業を守っていこうというお考えだということが示されていました。また、経営計画、規模を拡大したいというものに関しては5.7パーセント、逆に縮小したいという方々が9.9パーセントということで、やはり縮小傾向にあるのかなというところは、この調査でも、恐らく毎年同じような傾向が出ているのではないのかなと思います。では、どうやって、担い手がいないものを守っていくかということは大きな課題だと思いますし、このアンケートや、先ほどのパトロールをやっぱり有効に活用しながら、この結果の分析をしっかりとしていっていただいて、まず、先ほど来言っている、市としてはどういう農地を守るのかということのビジョンを明確にして、こういう意向の分析に図っていっていただきたいと思います。
近年では、先ほどの市長もお話がありましたけれども、物効法の影響で、海老名市の農地はかなり高値で取引をされていると聞いております。今は市外の不動産会社から農地の所有者に対して積極的に農地の転用を進める働きがされている事例があることは、私も伺っております。今後、優良な農地が広がる地域においても、徐々に転用されていってしまうのではないかという心配があるわけであります。
1つ、私の地元の上今泉の事例のお話をさせていただきますと、ここは優良な一団の農地の地域であって、原則転用ができないと言われている場所でありました。そんなところに、転用ができるような要件になるような策を取られたことによって、その優良な農地が転用されようと今しているわけであります。全ての農地を守ってほしいと言っているわけではなくて、私の中では、先ほど来の、市がしっかりと守るべき農地をゾーニングしてもらい、そして、地権者である農家の理解を求めて、その農地を守っていく必要があるのではないかということをお伝えさせていただいております。
農業委員会は、先ほどの話からも、農家の意向を一番近くで把握ができる方だと思いますし、農業委員会としても、優良な農地を意識して、農家に働きを行っていっていただける必要があると思いますけれども、農業委員会の考えを改めてお伺いします。
農業委員会事務局長(中山康一) 農地の結びつけでございますけれども、その際に考慮しなければいけないのは、果たしてその農地に担い手サイドの需要があるのか、それから、先祖伝来の土地が多数占めておりますので、所有者と担い手の間の相性という問題もございます。その部分は、地区担当の農業委員、農地利用最適化推進委員の皆さんが十分熟知しているところでございますけれども、そのために、農地の結びつけを働きかける優先順位については、各委員の方々に現状お任せしているところであり、保全を優先したい農地というテーマに関して、必ずしも連動していない部分は正直ございます。農地法では、おおむね10ヘクタール以上の規模の一団の農地の区域にある農地を良好な営農条件を備えている農地と規定してございます。この中から、市街地化の傾向が著しい区域内にある農地と、市街地化が見込まれる区域内にある農地を除いた残りについては、農地法に関します農林水産省の通知で第1種農地と呼ばれておりまして、原則転用ができない立地となってございます。先ほど来答弁しております、農業委員による結びつけにつきましては、これまでの手法のよい点は残しつつ、今後はこの第1種農地を優先に働きかけていけるように、会長及び委員の方々と今後調整を図って進めてまいりたいと考えております。
(久保田英賢議員) ありがとうございます。農業委員が一番身近なところでそういうお考えを持っていただいて、動いていただくと、守られるべき農地は守られるのかと思います。まさに今お話があった第1種農地、もしくは甲種農地、第2種農地は、原則転用が許可しないとなっております。海老名市の中で言えば、農用地以外の優良な農地の場所だと思っておりますので、その辺のことに関してはしっかり認識を持って進めていっていただきたいと思います。
このような法令上転用が不可能な立地にある農地について、実際、農業委員さんたちはどの程度そのことを承知されているのかお伺いしたいと思います。
農業委員会事務局長(中山康一) 農地転用でございますが、県知事の許可になってございます。ただ、転用の申請書は農業委員会に提出し、農業委員会が申請書に意見を付して県知事に提出する制度になってございます。県知事への意見書でございますが、農業委員会で審議した結果に基づきまして、申請地が転用可能な立地であることを書いてございますが、申請地の周辺農地が転用可能な立地かどうかにつきましては、農業委員会では議論してございません。しかし、ある農地の転用が許可されました結果、周辺農地の転用の可否にまで影響することは今後考えられますので、今後につきましては、農業委員が申請のあった農地周辺の状況を理解していく必要はございます。その方法につきましては、会長及び委員の方々と今後調整を図って進めてまいりたいと考えてございます。
(久保田英賢議員) 先ほど登壇の答弁で市長からも、農用地を増やしていくのだというお話もありました。農地を守るためにはしっかりゾーニングをして、優良な1種、甲種、2種の農地から、基本的に転用できない農用地を増やしていく、これが必要があると思います。ただ、先ほど来の話のように、農地は私の権利、農家のものである、そこをご協力していただくために、農用地を増やしていくための市としての支援策も必要かと思いますけれども、その支援策についての考えをお伺いします。
経済環境部長(金指太一郎) 農用地を増やす支援策でございます。現在、農用地保全推進事業補助金という制度がございまして、これは、新規に農用地指定をされた農地の地権者に対し、農地の畦畔補償費などに充てていただくための維持管理経費を支援するもので、100平米当たり10万円を5年間交付してございます。また、農用地区域の指定に合わせまして、将来にわたり農作業の効率化や省力化を図るべき、国、県の補助事業を活用した大規模な農業基盤整備なども行っているところでございます。
(久保田英賢議員) いろいろな策をもって何とか市も努力をされていることは理解いたします。この農用地以外の1種、甲種、もしくは2種の農地を何とか維持保全をしていこうということが重要なポイントになってくると思いますけれども、その対策に関してのお考えがあればお伺いしたいと思います。
経済環境部長(金指太一郎) 対策ということでございます。現在の農地を将来にわたって全て維持していくのは現実的には難しいと考えてございます。しかし、農用地をはじめ優良な農地については、先ほど来ご答弁させていただいておりますように、維持保全を図らなければならないと考えてございます。このことから、耕作が困難だった農業者が転用等により、安易に非農地として土地利用されることを防止するため、農業者同士での農地の貸し借りや売買の制度の周知をさらに図ってまいりたいと考えてございます。また、農業者の営農意欲を高めることが農地の維持保全につながると考えてございまして、農業委員会やJAと連携を図り、各種支援策を時代や農業者のニーズに合わせて実施してまいりたいと考えてございます。さらに、これは現在、設立準備を進めてございますけれども、農業法人においても、その担い手の確保、あるいは農地の有効利用等、農地の維持保全を取組を実施してまいりたいと考えてございます。
(久保田英賢議員) 市長、私は海老名の農地は、2000年以上前からつながってきているものだと思っております。このまちの景観、田園風景の景観というのは、まちの特徴の1つでもあると思いますし、柱にもなるものだと思っています。中心市街地と農地のバランスが、市民が望んでいるものでもありますし、これを計画的にしっかり維持しなければならない、これは市がしっかり計画を立てていかなければいけない、私はそう思いますけれども、市長の見解をお伺いします。
市長(内野 優) まず言えることは、農地に値段がつくということなのですね。そこが問題なのです。坪何万円とか、そういった値段がついてしまうからこそ、農業をやる方にとっても、負担になっているときには、売買したほうがいいとか、転用したほうがいいと出るのです。だから、海老名市が集団集約をいろいろ訴えております。あるいは農機具の貸出しも行っております。今後、農業公社をつくっていこうといった関係の中では、最低限、その条件というか、環境が必要なのは、農業の従事者の意識改革が絶対必要です。自分の農地は当分、この五、六年はやっているのだと、その後は転用したいと、そういうものについては補助は私は必要ないのではないかと思います。一時、国が、農業所得の保障を一律しました。あれほど愚策だと思ったことは私はありません。残す農地について、しっかりとした予算とか、制度をつくっていく。それから、農業の稲作ではなくて、転用を図って、園芸をやっていく、それを拡大していく、そういったときに補助を出していく。今現在やっておりますけれども、そういったことにおいて、農業を守っていきますし、イコール、農地を守っていけるのだろうと思っています。
先ほどから久保田議員がおっしゃった第1種農地の関係について、条件が整うと第3種になってしまう。これは農地法の部分の通知ですから、判断なのですね。そこの問題があると思います。そういった部分では、地方へ行くとそんなことは絶対ないと思いますけれども、こういった都市型の海老名の地域はあると思いますので、農業委員会の会長、職務代理とつい最近話した段階では、今、海老名の農地で、第1種農地と言われるところはどこにあるのだということの色分けをちゃんとしていこう、それを農業委員がある程度確認した上で、今後、いろいろな農地転用が出たときにどうしていくか、そういった課題として残していこうと考えています。しかしながら、何といっても、個人の所有の土地ですから、行政が一方的にできません。そういった中で、先ほど冒頭申し上げたように、意識を変えていただいて、その中で集団集約を図っていくという形が農地を保全する道だと私は思っています。
(久保田英賢議員) ありがとうございました。ぜひ、一歩前進というところで、まず、市として守るべき農地がどこなのだという、ゾーニングを含めて図っていっていただければと思います。
この件に関してはこれで終わります。