平成30年12月第4回定例会 30.12.11
「小中学校修学旅行の現状と今後のあり方」
◆ 久保田英賢 議員
2点目は「小中学校修学旅行の現状と今後のあり方」についてです。
平成27年7月に保護者負担経費検討委員会を設置され、学用品等経費負担のあり方を議論されてきました。ことしの9月、海老名市保護者負担経費の在り方について報告書を提出されましたが、その中に修学旅行のあり方についても議論の結果が記されていました。報告書の中では、修学旅行についてはさまざまな課題があるため、今後の方向性については別途検討会を立ち上げて検討することも考えるとなっていました。また、9月定例会の一般質問での答弁でも教育部長は、まず修学旅行については、趣旨をしっかりと理解していただけるように説明責任を果たしていく。さまざまな課題があるということも認識しており、今後の方向性については、別途検討会を立ち上げて検討することも考えていると答弁をされております。まさにこれから深い議論を行うとのことですが、保護者からは幾つかの疑問の声も上がっており、特に修学旅行の行き先の決め方については強く疑問を持っているようであります。
ここでお伺いしますが、現在の修学旅行の決め方や実施までの流れ、現在認識している課題についてお伺いをいたします。
以上、内野市長の明快なるご答弁をお願い申し上げ、この場からの質問とさせていただきます。
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◎市長 内野優
久保田英賢議員のご質問にお答えいたします。
2番につきましては教育長から答弁いたします。
以上でございます。
◎教育長 伊藤文康
2番目の「小中学校修学旅行の現状と今後のあり方」についてでございます。小学校は13校、日光方面で、そこで自然学習とか歴史学習をして、旅館、ホテルに泊まっております。中学校は6校、それぞれの目的で平和学習とか班別行動を目的にホテルとか民泊によって行われてございます。
そういう中で、長い間、留学旅行は続いていたのですけれども、昨年度、保護者負担経費検討委員会の中で修学旅行も取り上げて、その中で保護者の声とかアンケートをとったりして、それを聞くことができました。そういう中で、現状は教育課程でやっておりますが、教育課程は学校が第一義的に編成するものですから、行き先等も決めるというのは学校のことでございます。それに対して我々のほうで、私自身もとやかく言うつもりはない。ただ、そこであったのは、本当に高額の費用を保護者は負担しなければいけない。高額な費用を負担する場所に行くのに、本当に子どもたちも満足しているのかということを考えると、もしそこに行くなら、学校は十分な説明責任を果たす必要があるし、そうでなければ、新たな形で修学旅行の検討先を子どもたちの意見も聞くし、保護者の声を聞いて決めるという方向に持っていく必要があるかと私は思っておるところでございます。そういう中で、今後は修学旅行のあり方検討委員会を立ち上げて、修学旅行について、本当にさまざまな立場の人の意見を聞いて、今後の海老名市の修学旅行をやる。ただ、行き先等は、そのあり方の中で学校の教育課程として学校がそれを決定して、説明責任を果たしてもらいたいと考えております。
2番目の詳細につきましては伊藤教育部次長から答弁いたします。
以上でございます。
○議長 倉橋正美 議員
2番目の詳細について伊藤教育部次長。
◎教育部次長 伊藤修
2番目の「小中学校修学旅行の現状と今後のあり方」についての詳細でございます。
市内小学校13校での修学旅行の実施につきましては、各校の代表者などから構成される委員会での情報交換などを通じまして各校で検討を行い、決定しているところでございます。費用につきましては各校おおむね2万円前後となっております。
一方、中学校の実施につきましては、学年会議や複数の旅行業者のプレゼンテーションなどを経まして、最終的には学校長が承認決定しているところでございます。今年度の中学校の行き先につきましては、京都・奈良、神戸、石川、広島、青森など、各校さまざまな状況がございます。費用面につきましてはおおむね5万5000円前後となっております。
昨年度実施いたしました保護者のアンケートからも、金銭的な負担が大きいことや、さらに中学校におきましては、行先や宿泊先が異なること、さらに民泊先での体験内容により差があるといったご意見をいただいております。今後につきましては、海老名市保護者負担経費の在り方についての提言を踏まえまして、保護者や児童生徒からの意見聴取を検討するとともに、保護者への説明責任を果たし、修学旅行の方向性を検討してまいります。
以上でございます。
◆ 久保田英賢 議員
「小中学校修学旅行の現状と今後のあり方」に関してお伺いをしたいと思います。
先ほど教育長のほうから答弁がありまして、検討委員会の報告書が出されて、アンケートはいろいろ出ていました。私もいろいろ見させていただいた中で、民泊に対する声が非常に多くあったというところであります。民泊の導入の時期はいつごろだったのか、また、導入の経緯、背景はどういうものだったのか、お伺いしたいと思います。
◎教育部次長 伊藤修
中学校修学旅行における民泊についてでございます。
本市では平成8年度に導入されたところでございまして、目的といたしましては、地方に暮らす人々との交流を通じて、主体的に取り組む力ですとか、あとは豊かな感性、人と接する態度を育成する、こういったことを目的として導入されたところでございます。
背景といたしましては、このころから学校において一部子どもたちのコミュニケーション能力の低下、また、人とかかわることの希薄さが感じられたということがございましたことと、またさらに、総合的な学習の時間が新設されたことなどを背景として導入されたところでございます。
このような経緯を経まして、従来の観光型の修学旅行から総合的な学習の一環といたしまして、体験型の就学旅行へ徐々に変化いたしまして、現在に至っているという状況にございます。
以上でございます。
◆ 久保田英賢 議員
民泊に行って、農業体験をして帰ってくることを海老名の農家の息子が体験することもあるということも聞いています。その体験が本当にどうなのかというところはいろいろあるのですけれども、では、お伺いしますが、民泊の効果はどのように考えられているのか、お伺いしたいと思います。
◎教育部次長 伊藤修
民泊の効果でございますけれども、まずは受け入れ側の家族と一緒に過ごす触れ合いは有益であるということと、また、民泊先での体験活動につきましては、海老名市内で経験できないようなものもございまして、貴重な経験であると受けとめております。またさらに、先ほど申し上げました総合的な学習の一環といたしまして、生徒みずからが課題を設定して主体的に取り組むため、探究学習が深まる効果があるという考えのもと、民泊型の修学旅行を中学校で採用しているものと受けとめております。
以上でございます。
◆ 久保田英賢 議員
最初に始めた当時は、そういう効果のこともあったのかと思いますけれども、続けるうちに見直していく時期というのは大事なことではないかと思いますし、まさに今、このタイミングでいろいろな声が保護者からも上がっていますし、ぜひそんなことは考える時期だと私は思います。
例えば、民泊の中での1つの例ですけれども、課題の中で言うと、アレルギーの子に対する対応というのを言われています。もちろん対応をとられているということも聞いておりますけれども、中にはそういうケースでなかったということもあります。エピペンを持っている子が、民泊の方でエピペンの知識がないお家にもし行ってしまったときに、どういう対応になるのかということ、その辺の課題というのは大きなホテルでそういう研修を受けているような、知識を持ったようなところとはちょっと違うということもありますので、そういう課題もこの報告書の中に入っておりますので、ぜひしっかりと検討していっていただきたいと思います。
この報告書自体ができ上がって、各校長会にも報告があったと思います。この辺の報告書を具体的に学校現場とどうやって共有していくのかということに関して、教育長、お考えがあればお伺いしたいと思います。
◎教育長 伊藤文康
報告書については校長会でもちゃんと説明しておりますし、校長との連絡会でも話し合いをしているところでございます。そういう中で、保護者の意見をどう聞くか、聞かないかということがあったのですけれども、学校としては、学校はある程度教育課程を決める。ただ、保護者検討委員会にそれを返したところ、保護者委員のほうからぜひ保護者の意見を聞いてほしいということがあって、それが報告書にまた盛り込まれたという経緯もございます。現状では、振りかえりの状況でも結構ですから、修学旅行について保護者がどう感じているか、どう思っているかの意見をちゃんと反映してほしい、聞いてほしいということをその場で言われた状態ですので、そのことも学校にはちゃんと伝えております。
以上です。
◆ 久保田英賢 議員
そして、大々的にアンケートをしてもらったと思います。中学校の修学旅行の経費がすごい高いということ、あと民泊に対しての平等感がない。いろいろな意見が出ていたと思いますけれども、もう少しアンケートの中身、どんな意見が出ていたのかをお伺いしたいと思います。
◎教育部次長 伊藤修
アンケートにつきましては、保護者負担経費のあり方の検討に際しまして、検討委員会での議論や今後の方向性に反映させるために実施したところでございまして、1481名から回答をいただいております。
修学旅行に関する自由意見につきまして、大まかな分類でご紹介をさせていただきますと、まずは金額の負担感については、主に中学校についての意見が多かったところでございます。その中身といたしましては、やはり費用が高いですとか、もう少し費用を抑えられないか、また旅行先での班別の交通費や食事代などにも結構かかることに驚いたという意見をいただきました。
次に、中学校での民泊についてでございますけれども、民泊については見直してほしいですとか、泊まる家庭により夕飯や滞在中の活動にも差がある。また、生徒全員で過ごせる宿泊先を考えていただきたいという意見がありましたけれども、また一方では、班に分かれての個人宅への宿泊はよい経験にもなったようだという意見もございました。
そのほかの意見といたしまして、価格を抑えることにより安全面などで質の低下を招かぬように、また、公費で補助してほしい、また積み立てにつきましては、1年生のうちから毎月口座振替による積み立てにしてほしい、このような意見をいただいたところでございます。
以上でございます。
◆ 久保田英賢 議員
教育長、今こういう意見、もちろん教育長もよく見られていると思います。大丈夫ですか。そんな中で、修学旅行は学校で決めるというのはもちろんのことですし、それが教育目標に沿ってやっていくというのはもちろんのことだとは理解しています。ただ、この検討会をやって、この報告書が出た。修学旅行に対するアンケートを受けて、教育長はどう受けとめられているのか、お伺いしたいと思います。
◎教育長 伊藤文康
アンケートの結果の中で、私自身、ほかのものもそうですけれども、教育課程そのものも学校が決めて、例えば学校評議員、要するにコミュニティスクールを入れたのは、地域の方、保護者の意見も聞いて、それを承認してもらうというルートにしたいということのもともとの考え方があります。もちろん教科の指導とか、全てをプロである教師がつくって、でも、それは多くの人の意見を聞き承認されてやるものだというルートが今後の教育のあり方かと思っていますので、そういう意味ではこの修学旅行の行き先はどうするという検討は学校でする。でも、その場合も保護者の意見や子どもの意見も聞きましょう。それから、最後はそれを承認していただきましょうという手はずをちゃんとする。では、そういう意味の修学旅行や学校行事のあり方をどのようにするかということについて、もう1回保護者の代表の方とか学校の方々とかさまざまな方を集めまして、海老名市の修学旅行のあり方検討委員会というところで、本当に時間がかかって、すぐやれよという気持ちはあるのかもしれませんけれども、ちょっと時間をかける中でいろいろな意見を聞いて、そこでよりよい修学旅行のあり方を定めていきたいと考えております。
以上です。
◆ 久保田英賢 議員
検討委員会の設置に取り組まれるという回答でしたので、ぜひそこはお願いをしたいと思います。
一方、総合教育会議があって、これは市長の権限であります。義務教育にかかわる公費負担のあり方の検討をしようと言ったのも、総合教育会議から始まったと認識をしております。市長が教育に関して何か物を言う立場ではないことも理解しておりますけれども、そういう中で、この検討委員会が出した結果、このアンケート結果を踏まえて、市長はどういうふうに受けとめられているのか、お伺いしたいと思います。
◎市長 内野優
教育内容については差し控えたいと思います。しかしながら、私からすると、安全面で今のやり方はどうなのかと思います。1学年が行くわけですね。民泊ですと、五、六人で分散するのです。そうすると、地震があったとき、豪雨があったとき、誰が助けて、誰が連絡をとるのか。民泊の場合は、自然があるところへ行っていますから、連絡方法が難しい。では、旅行会社は全ての安全について保障できるかというと、できないと思います。そういった部分では十分検討する余地があるということは、総合教育会議でもお話をさせていただきました。
そしてもう1つは、アンケートを見て、私も身内に中学生がいます。去年行ったところを聞きますと、こういう話です。青森へ行って、青森のちょうど真ん中のニンニク農家へ行ったそうです。そうしたら、ニンニクをつくるところのお手伝いをしただけではないのです。民泊するところから、ニンニク畑まであぜ道がずっとあるそうです。それを全部草むしりするのは中学生がやるのです。ニンニクをやって、帰ってきて、夕ご飯を食べる。朝飯はと言ったら、朝飯は夜の残りも出てくる。そして、では、青森だから、十和田湖へ行ったのと言ったら、行きません。弘前へ行ったの、弘前城見たの、行きません。仙台へ行ったの、行きません。これだけ交通利便性があったのに、なぜ途中で寄らないのかと私は疑問に思いました。農家だったら、海老名に半分の農地があって、農家の研修があるではないですかと思いました。
そこで、民泊で農業体験、民泊で何がいい。いろいろな方法論はあろうと思いますけれども、子どもたちは、せっかく中学校を歩んできて、高校は別の道に行きます。そうすると、最後の修学旅行で、小学校、中学校一緒の子どもたちもいます。そういう思い出は絶対あると思います。そこに視点があってもいいのではないかと私は思っています。
そういった部分は、中学生は6万円とか大金を使います。これからオリンピックが終わった後に万博があります。私も48年前、修学旅行で万博に行きました。2日間かな、京都、奈良へ行きながら、万博に1日行きました。そのとき、すごい人数で、アメリカ館は月の石ですか、私も見ていませんから、いっぱいなのです。私はソ連館、今のロシア館へ行きましたけれども、そういった部分では、時代状況の中で行き先が変化していっても、子どもたちにとってすばらしいと私は思っています。だって、万博なんか一生にないのですから、そうでしょうか。オリンピックもそうなのです。だから、そういった部分を視点を与えるということも必要ですし、その部分では考えるべきだと思います。
しかしながら1つだけ、保護者負担軽減というのは大きな課題であります。今回議論になりませんけれども、消費税の対策で、今、給食費の議論になっていませんけれども、消費税が上がったら当然給食費は上がります。これは後ほどの質問である。基本的には、教育委員会として保護者負担軽減をどうやって考えるかという問題は大きな問題です。
もう1つは、野外教育で、私ども4500万円で富士ふれあいの森を廃止しました。廃止するとき、すごい話題になって、市長選挙でがんがんやられて、廃止して、今違うところへ行ってますけど何か問題がありますか。学校プールもやめました。やめてがんがん言われました。だけれども、今プールは、夏休み中に子どもたちを屋内プールで泳がせてくれるために、それをフォローしろという話です。学校の授業でプールをやらなくても何も問題が出てきません。だから、私は教育内容は教育委員会と教育長に任せます。だけれども、設備の関係とかそういうのは一切私どもの予算に関係します。今後先を見たときに、どうあるべきかという視点に立って考えるべきだと思っています。
以上であります。
◆ 久保田英賢 議員
財政等の問題もあると思いますけれども、保護者経費負担という中で、何ができるかということは引き続きしっかりと考えていっていただきたいと思いますので……。
◎市長 内野優
片や保護者軽減をやっていて、片や修学旅行費が6万円。10万円の制服を議論しているわけです。ジャージだって1万何千円が、契約方法を変えたら1万円を切ったではないですか。契約方法の関係とかどこの行き先とか、全てそういったものが教育委員会の、先ほど教育長が言ったとおり、検討委員会を設けるという話ですから、十分に議論してもらいます。
その中で、市長部局として、市長としてできるものがあれば、富士ふれあいの森も無料でやっているわけでありまして、一部取るときはあります。その部分については十分検討しないと、今後、少子化を迎えますから、子育て環境というのは、小児医療費だけではなくて、公立学校として、小学校、中学校ではもう値段が格差です。先ほど言ったとおり、2万円から。それをどうやって補助を出すか問題があります。補助を出すことによって、学校長の判断も変わると私は思っています。そういった部分である程度考えていく必要もあるだろう。十分検討させていただきたいと思います。
◆ 久保田英賢 議員
ぜひお願いをしたいと思います。とにかく今も透明性がある形でプレゼンテーションを受けてやっていると、業者選定、行き先もあると聞いていますけれども、まさに今、そういう組織をしっかりと選定委員会をつくって、その選定委員会の中で提案を受けて、その提案を受けたもので保護者に納得をしてもらう、説明をしていく。そして、市として子育て世代にどういうことができるのか。そんなことを考えていっていただきたいと思いますので、この点に関してはここで終わりにしたいと思います。