平成28年3月第1回定例会 280315
『介護保険制度改革における新たな総合事業の取り組み』
◆ 久保田英賢 議員
今回は2つのテーマに関してお伺いをいたします。
1番目は「介護保険制度改革における新たな総合事業の取り組み」についてです。
新しい介護保険制度が平成27年4月より順次施行されています。今回の制度改正は、医療法などの法律を一まとめにした地域医療・介護総合確保法として進められてきたものであります。つまり介護のみならず、医療、看護などと一緒になった大きな仕組みとして見ることが必要になります。その大きな仕組みの柱となるテーマが、10年後の2025年度をにらんだ地域包括ケアシステムの構築であると考えます。今から10年後には、人口比率の高い団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となります。昔に比べて元気な高齢者がふえているとはいえ、75歳以上ともなれば、何らかの疾患や身体のふぐあいを訴えるケースが一気に高まります。そうした時代に、今までどおりの医療、介護の仕組みを続けていれば、保険料の増大や財政悪化などによって制度を維持していくことが危うくなってくると考えられます。
こういった背景の中、川上に当たる急性期医療を初めとして、本当に必要なサービスを必要な人のもとへと届ける重点化と効率化が図られる必要が出てまいりました。急性期を脱した人はできる限り早期に在宅へ移行し、そのための受け皿として、医療と介護が密接に連携しながら、重い状態の人でも在宅生活を続けられるような仕組みを目指していると思います。これにより、介護保険のあり方も急転換することとなってきました。具体的には、介護保険を重い療養ニーズや認知症がある人へのケアへと少しずつ特化させ、軽度の人へのサービスの保険給付を少しずつ減らしていこうというものであります。この仕組みの改革によって、介護保険制度の地域支援事業のあり方などが大きく変わりました。
ここでお伺いをいたします。制度改革に伴い、新年度予算にも新たな地域支援事業の経費が計上されております。具体的に、新しい介護予防・日常生活支援総合事業ではどのような形で行っていくのか、お伺いします。市長の明快なるご答弁をお願いさせていただきます。
○議長(森下賢人 議員) 市長の答弁を求めます。
◎市長(内野優)
久保田英賢議員のご質問にお答えいたします。
1番目の「介護保険制度改革における新たな総合事業の取り組み」についてでございます。
議員がおっしゃられるとおり、2025年問題という形の中で、やっぱり住みなれた地域で、自分らしい暮らしが継続できる医療、介護、介護予防、生活支援、住まいが一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を目指しております。平成27年度の介護保険制度改革では要支援者の通所と訪問サービスが、介護保険の給付から、同じ介護保険事業である地域支援事業に移行することになっております。そういった面では、全国一律だった要支援者への介護保険サービスに加えて、地域住民との協働によって、地域の特性に合ったサービスの提供が求められておりますし、幅広いサービスの利用ができるようになります。そのため市では、平成28年度より生活支援コーディネーターを置き、地域ごとのニーズの把握や問題の抽出を行い、関係団体と連携して海老名らしい生活支援の体制整備を進めていきたいと考えております。
しかしながら、やはり何といっても介護保険は、第2の国保ではありませんけれども、特養老人ホームをつくると1ベッド300万円の経費がかかります。もう既に3700名ぐらい認定者がいらっしゃいますけれども、使われているお金が50億円近くになっていく。そうしますと、1人頭大体140万円から150万円というお金が使われています。それから、後期高齢者医療は広域連合でやっていますけれども、1人平均70万円と言われています。そういった面では、まず、そういったシステムをつくりながら、元気な高齢者という形も必要ではないかなと思っております。
つい最近、テレビを見ておりまして、おもしろい会話がありました。ある医療機関で高齢者のおばあちゃん同士が話していました。このごろあの人が来ないね、ふだん来る人が来ない、病気にでもなったのかという話でございます。それだけ高齢者の関係の医療というものは増大になっておりますので、病院へ行かなくてもいいような元気な高齢者を目指す、そのことも重要ではないかなと思っています。
1番目の詳細につきましては清田保健福祉部次長から答弁いたします。
以上でございます。
○議長(森下賢人 議員)
1番目の詳細について清田保健福祉部次長。
保健福祉部次長(清田芳郎)
1番目の「介護保険制度改革における新たな総合事業の取り組み」についての詳細でございます。平成29年4月からの新しい総合事業では、介護予防事業にあわせまして、要支援者の通所・訪問サービス事業が地域支援事業として実施されてまいります。新しい総合事業の中では、従来の介護予防事業に加えて、住民運営の通いの場の充実などによりまして、高齢者の介護予防となるような多様な介護予防サービスが必要となってまいります。そのため、平成28年度から地域包括支援センターの区域を担当とする生活支援コーディネーターを導入してまいります。生活支援コーディネーターは、担当地域の中での社会資源や高齢者ニーズの把握を通して、必要とするサービスの洗い出しを行うとともに、地域での関係団体とのネットワークづくりに取り組んでまいります。このように地域の中で関係するさまざまな方との協働を重ねることで、その地域の特性に応じた住民主体のサービス体系の整備が図られるものと考えております。
いずれの事業におきましても、引き続き、関係者と連携を強化し、高齢者を地域で支える体制づくりを図ってまいります。
以上でございます。
◆ 久保田英賢 議員
「介護保険制度改革における新たな総合事業の取り組み」という問題ですが、先ほどいろいろご答弁をいただきました。私も視察等でもいろいろなところでこのお話を聞いて、もう先進的に動かれている自治体もありますが、市民とこの手の話をしますと、要支援1、2って、もう介護保険から外されてしまうのでしょう、もう介護保険制度の枠組みからなくなって、もう要支援1、2の人は排除されてしまうのでしょうというようなことがよく言われています。介護保険の枠組みから外れているという理解をしている人がいますが、実際のところどうなのかということをご説明いただきたいと思います。
◎保健福祉部次長(清田芳郎)
平成29年4月からの移行は、同じ介護保険制度の給付費という中から地域支援事業に移行するということでありまして、介護保険制度の中に残って、その中で運営するということでございます。
以上でございます。
◆ 久保田英賢 議員
そうしますと、訪問介護とか従来通所介護なんていうものもありまして、今度制度が変わると、日常生活支援の地域支援事業のほうに移ったときには介護保険ではなくなってしまうということではなくて、しっかりと新たな総合支援事業の中でも介護保険の枠組みの中からお支払いをされるという理解でよろしいでしょうか。
◎保健福祉部次長(清田芳郎)
重複いたしますけれども、給付費ではなくて、地域支援事業に移行した部分についてはそういう形になろうかと思います。
以上でございます。
◆ 久保田英賢 議員
ということは、介護特会の中からという認識だと思います。そういう認識を持たれていない方がいっぱいいらっしゃいますので、私もしっかりと伝えていきたいなと思います。
先ほど生活支援コーディネーターのお話がありました。今度、地域の中で日常生活を支援していく枠組みをつくっていくためにコーディネーターの配置をされるというお話でありましたが、そのコーディネーターは、どんな形で配置をして、どのように活動していくのか、お伺いしたいと思います。
◎保健福祉部次長(清田芳郎)
生活支援コーディネーターの活動でございますけれども、生活支援コーディネーターは、地域福祉に実績のある社会福祉協議会に委託をしたいと考えております。社協の地区担当6人が、市内6カ所にございます地域包括支援センターの区域をそれぞれ担当しまして、地域ごとの課題ですとかを協議しながら、高齢者に対する課題の抽出ですとかニーズの掌握を行って、地域のネットワークづくりをしていくというように考えております。
以上でございます。
◆ 久保田英賢 議員
包括支援センターが6つあって、その包括支援センター圏域の中にコーディネーターを配置する。その配置するコーディネーターに関しては、社協のほうにコーディネーターの役を委託していくということだと思うのですけれども、そうしますと、6つの圏域はそれぞれコーディネーターがいますが、市全体としてはどのようにその6つをまとめていこうとお考えか、お伺いします。
◎保健福祉部次長(清田芳郎)
地域で活動する生活支援コーディネーターに加えまして、市全域を見る生活支援コーディネーター1名も置きます。その1名が各地域の取りまとめですとか地域間の調整、連携などを行うことによって、地域差の解消ですとか連携強化ができるものと思っております。
以上でございます。
◆ 久保田英賢 議員
そうすると、先ほど地区の部分、6つの包括圏域は社協の担当がつくということなのですけれども、全体に関してはどう考えればよろしいのでしょうか。
◎保健福祉部次長(清田芳郎)
全体のコーディネーターにつきましても、社会福祉協議会に委託して実施していきたいと考えております。
以上でございます。
◆ 久保田英賢 議員
そうしますと、6つの包括の圏域に生活支援コーディネーターが1人ずつ配置される、そして、それを取りまとめる全体のコーディネーターがつくというイメージかなというふうに思うのですけれども、その6つの1つ1つの枠組み。協議体みたいになるように思うのですけれども、それぞれの協議体はどういう形で運営をされていこうと思っているのか、お伺いをしたいと思います。
◎保健福祉部次長(清田芳郎)
協議体というお話なのですけれども、地域の中でどう協議を行っていくかということだと思います。現在市で考えている協議の方法は、1つの固定した協議体をつくって話を進めていくということよりも、状況に応じて必要な関係者が迅速に集まることができて、円滑に協議ができる、情報の交換ができるような会議形式にしたいと考えております。
以上でございます。
◆ 久保田英賢 議員
そうすると、今も各自治会の中でケア会議とか、連合の枠組みの中でやっている地域なんていうのもあると思いますが、今後は地域福祉、特に日常生活の支援に関してはそういう協議体の中でいろいろな課題が出たときに、そういう課題に対して関係している人たちが集まって問題解決に向けて協議をしていくという、そんな理解でよろしいでしょうか。
◎保健福祉部次長(清田芳郎)
まずはそういう理解でよろしいかと思います。
◆ 久保田英賢 議員
今、地域の福祉の問題、いろいろと地域の皆さんにお願いをしていっていると思います。例えばサロンなんていうのも、これは各地域で常設サロンが今市内には3つ、さつき町、東柏ケ谷、上今泉にあると思いますが、今後そういうサロンみたいなところにデイサービスではないですけれども、通っていくなんていうことも日常生活支援事業の一部にもなっていくのかなと思いますし、先ほど包括圏域という話がありましたけれども、包括圏域が6つと聞くと、ああ、6つなのだと思うのですけれども、冷静に考えると6つの包括圏域って結構広いのですね。やっぱりその6つの包括圏域の中で問題が全部解決、そこの枠組みでできるかというと、私は包括圏域ではやっぱり広過ぎて、地域の問題を吸い上げるにはちょっと難しいような気もします。そうなると、もっと包括圏域の中を細分化して、それぞれの地域の中で同じような協議体ではないですけれども、そういうものをつくっていく必要があると考えます。
その中で今、社会福祉協議会がやられている地区社協というのが平成19年から、徐々に地域のふれあいまちづくり事業という形の中で進められておりますが、今、市内には13あると言われています。ただ、この地域もすごく偏っておりまして、国分寺台、中新田、東柏ケ谷、大谷、国分、下今泉、上今泉ということで、ほとんど北部なのですね。こういう地域福祉をこれから社協に任せて、そして社協がそういう協議体を運営していく、コーディネーターになっていくという中では、包括圏域からもう1層下の地域に根差した組織というものをつくっていかなければ、生活支援の問題も形にしていくのはなかなか難しいというふうに私なりには思うのですが、地区社協というものに限らずですが、包括圏域からもう1層下の組織の運営というものに関してのお考えがあればお伺いしたいと思います。
◎保健福祉部次長(清田芳郎)
まずは、医療と介護の連携というのが地域包括ケアシステムの大きな柱になっております。医療と介護の連携をやる中で中核的な役割を示していくのが地域包括支援センターの役割になってこようかと思います。地域包括支援センターも含めて、まず医療、介護の連携、それ以外に生活支援ですとか介護予防とかが出てくると思います。そういうことを地域包括支援センターの区域の中で関係者が協議をして、どういうサービスを体系づけていくかという協議がまずは先だと。その次の段階でもっと細かいことがあれば協議をしていくような考え方を持っております。
以上でございます。
◆ 久保田英賢 議員
ありがとうございました。いずれにしましても、新しい仕組みに介護保険制度も変わって、それを地域で運用していくという中では、しっかりとその地域との連携、コーディネーターを中心にそれぞれの地域の事情に合わせた打ち合わせというものが必要になっていくと思いますので、今後、認知症の問題も地域で解決をしていかなければならないと思いますが、ぜひその辺もしっかりとお話をしていただいた中でつくり上げていっていただければと思います。終わります。