平成24年3月12日【中学校武道必修化】

平成24年3月第1回定例会(平成24年3月12日)
【中学校武道必修化】

3番目、「中学校武道必修化」についてでございます。
 平成24年4月、公立中学校で武道必修化が導入されます。これは、学習指導要領の改訂から成るもので、武道については「我が国固有の文化に触れるための学習が引き続き行われるようにする」と記されております。武道は、柔道、剣道、相撲の中から選択できますが、海老名市内の中学校においては、6校とも柔道を選択されると聞いております。23年度までは男女とも柔道とダンスの選択制でありましたが、今回の改訂で、男女とも柔道、ダンスの両方を学ぶことになります。学習内容の考え方では「柔道が我が国の伝統的な運動文化であるため、特に、礼法や、伝統的な行動の仕方に留意する態度、互いに相手を尊重する態度、規則を守る態度、公正な態度、健康・安全に留意する態度などが重視される」と言われております。まさに武士道の精神を学べる場であり、とても意義あるものだと思います。しかし、実際の柔道に使われる授業時間は、年間105時間中8時間から12時間とお聞きしております。
 ここで、2点、質問をさせていただきます。
 1点目、専門的な柔道の指導者を外部指導員として活用できないかということです。これは、1つ目に安全性の問題を確保することです。体育教師が有段者と聞いておりますが、柔道場を持たない各学校において、専門的な柔道指導経験の少ない体育教員のもとでの授業は事故が起こりやすいと懸念されております。また2つ目には、専門的な柔道指導員を活用するメリットは、より武道の本質に触れられると考えられるからであります。武道必修化の意味は、柔道のわざを覚えることだけが目的ではなく、礼に始まり礼に終わると言われるように、礼法を特に重視している点からであります。
 2点目、保護者の柔道着購入についてであります。これは、武道必修化になったことにより、女子も柔道着が必要になってまいります。男女問わずのことではございますが、年間授業日数が8時間程度で、かつ学校によっては3学年すべてに使用しないとも聞いております。もちろん授業に必要なものですので、保護者が準備するのは当たり前のことと思いますが、過去に購入された保護者の意見を伺いますと、使わなくなったきれいな柔道着がそのままたんすの肥やしになっているというお話がありました。現在は購入のみの方法しかないように伺っておりますが、レンタルなどの方法をご紹介いただけないか、お伺いします。

◎教育長(沖原次久) 3番目の「中学校武道必修化」についてでございます。
 この4月から中学校で全面実施されます新学習指導要領では、充実すべき重要事項に「伝統や文化に関する教育の充実」が挙げられております。これを受け、中学校の保健体育科では武道が必修化され、他のスポーツでは学び得ない我が国固有の伝統的な競技として、すべての生徒が武道を履修することとなっております。武道は、柔道、剣道及び相撲などの中から各学校が選択して行うこととなっておりますが、本市では、既に施設や用具、指導者などの面から、すべての中学校で柔道を指導しております。
 なお、今年度の県内の公立中学校の武道の選択の状況については、柔道が最も多く、全体の8割を超えておりまして、剣道は約2割、相撲はわずかに3校のみでございます。柔道の学習につきましては、全国的に見ますと、授業中に生徒がけがをしてしまったという事例が幾つか報告されておりまして、授業実施に当たっては、何よりもまずは安全面に十分留意し、事故を防止することが極めて重要であると認識をしております。このため本市では、武道必修化に対応するため、施設の充実や指導する教員の指導力の向上など、安全を確保するための取り組みを進めてきているところでございます。議員ご指摘の専門的な指導のできる外部指導者を活用して授業を行うことも、安全を確保し、効果的に指導するという点から有効な方策であると考えております。また、生徒の柔道着の購入につきましても、できるだけ保護者の負担を軽減するという方向で検討をする必要があると考えております。詳細につきましては教育部専任参事から答弁をいたします。
 以上でございます。

◎教育部専任参事(仲戸川元和) 3番目の「中学校武道必修化」の詳細についてでございます。本市では、新学習指導要領に示された武道必修化に移行する以前から、全中学校で体育授業の選択種目として柔道の授業を行ってきております。各校には柔道用の畳を配備しており、体育館のフロアに敷き詰めた状態で指導を行っております。学校によっては、畳の周囲に体操用のマットを敷くなどして、より安全性を高める工夫をしているという実践例もございます。指導者については、各校には柔道の有段者である体育教員を必ず1人以上配置しております。また、指導者の指導力の向上のために、各学校の体育指導の担当者が集まる会議において、教育委員会から柔道授業における事故防止について指導を行っております。具体的には、神奈川県教育委員会から出されました「運動時における安全指導の手引き」「部活動における事故防止のガイドライン」、文部科学省から出されました「学校体育実技指導資料 柔道指導の手引」をもとに、柔道を行う際に起きやすい事故や事故防止のポイント、事故、けがへの対応等について確認し、事故防止対策の徹底を図りました。また、より安全な指導のために、専門的な指導のできる外部指導者を活用した授業の実施についても取り組んできております。これまでも県教育委員会の外部指導者派遣事業を活用して、市内中学校全体で年間10時間程度、専門性を持つ地域指導者の協力をいただいて授業を実施しております。こういった取り組みは、柔道の授業を安全に実施でき、学習効果も期待できますので、今後も引き続き県の事業を活用するとともに、さらに市の柔道協会や県警等からのご協力をいただきながら、外部指導者の活用を図っていきたいと考えております。また今後、教員研修も含め、海老名運動公園総合体育館の柔道場の活用も検討していきたいと考えております。
 次に、柔道着の購入に伴う保護者の負担軽減についてでございますが、学習する上で保護者の負担はできるだけ軽減していきたいと考えております。保護者にとって柔道着の購入は負担となっていると伺っておりますので、柔道着の購入に対して、比較的負担の少ない業者からのレンタルという方法もございますので、そういった情報を各学校に紹介するなどして保護者の負担軽減に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◆(久保田英賢 議員)3番目の「中学校武道必修化」についてであります。
 先ほどご答弁をいただいていた中で外部指導者の方々、安全性において、警察であるとか、もしくは市の柔道協会の方々との連携をとっていかれるというようなお話を伺いました。9日に文科省から指導の手引でしたか。また、安全性を確保するため、保護者向けにもホームページなんかで出されたというのを拝見しました。安全性ももちろん大事なのですけれども、ただわざを教えるとか、ただ授業で8時間、10時間を使うということではなくて、やはり一番大事なのは、先ほどお話ししましたが、礼に始まり、礼に終わるという部分の道徳的な教育がこの中でしっかりと伝えていける場面でもあるというふうに思います。やはり本質に触れることが生徒の皆さんにとっては一番重要なことだと思いますし、もちろん先生たちが本質ではないということを申し上げているのではなくて、柔道というものをしっかりやられてきた方々から子どもたちが学ぶことに関しては、本質に触れるということだと思いますので、ぜひそのような形で連携をとっていっていただければなと思います。また、授業も短時間で1個1個教えるというよりは、例えばそういう本質的な専門家、外部指導員の方に来ていただけるのであれば2時間1枠でやっていくとか、そのように集中的に行うことも効果が得られる1つではないかなとも感じます。
 いずれにしましても、地域の方々、そういういろいろな方々と連携をしていく仕組みというのは、まさに地域の子どもは地域で育てるということで、ひびきあう教育の理念にも合致しているものだと思いますので、ぜひともそのようなことをお願いして、この件も要望にさせていただきます。