平成24年3月第1回定例会(平成24年3月12日)
【ジェネリック医薬品の普及促進】
1番目、「ジェネリック医薬品の普及促進」についてです。
昨年8月の厚生労働省の発表によりますと、平成22年度の医療費は前年度に比べ約1兆4000億円増加し、過去最高の36兆6000億円となりました。1人当たりの年間医療費は、前年度と比べて1万1000円増の28万7000円で、ともに過去最高を更新しました。急速に進む高齢化で医療費がますます増加すると予想され、海老名市におきましても医療財政が厳しい中、今後とも医療費の増加は避けられない状態であると思います。医療費の削減には、市民の方々が病気にならないことが一番であります。そのためには、各種検診による早期発見、早期治療が欠かせません。予防の点においても、海老名市では、がん検診を初め先進的に取り組んでいただいていることに感謝を申し上げます。
やむを得ず病気にかかった場合は、医師の診断によって処方される医薬品が出されます。その医薬品には、新薬の先発医薬品と後発医薬品のジェネリック医薬品があります。先発医薬品は10年から15年もの歳月と数百億円以上と言われる経費をかけて開発されているもので、先発医薬品を開発した製薬会社は特許の出願により、およそ20年から25年、その薬を独占的に製造、販売する権利があります。しかし、その特許期間が過ぎてから厚生労働省の承認を受けると、他の製薬会社は同じ有効成分の薬を製造、販売できるようになります。それがジェネリック医薬品であります。ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分を使い、効き目、品質、安全性が同等な薬であると言われています。開発経費がかかっていないため、価格は先発医薬品と比べて3割から7割安となっています。このジェネリック医薬品を利用すれば、おおむね半額程度に抑えられ、市民の方が窓口で支払う自己負担が軽減でき、医療費の抑制にもつながります。これからは、被保険者1人1人の医療給付費削減がますます重要であると考えます。
そこで、本市の国民健康保険における医療費総額と被保険者1人当たり医療費の現状がどうなっているのか。また、市長のマニフェストにもありますが、ジェネリック医薬品の使用促進についてどのようにお考えになられているのか、お伺いします。
◎市長(内野優) 久保田英賢議員のご質問にお答えいたします。
1番目の「ジェネリック医薬品の普及促進」についてでございます。
高齢化社会が進む中、医療費の増加は、国民健康保険にとっても避けることのできない大きな問題であると認識しております。国保財政を健全に維持していくためには、歳入の確保は重要な課題でございますが、これからはいかに医療費を抑制するのかということも重要になってまいります。医療費の抑制に対する取り組みといたしましては、平成20年度から、生活習慣病予防と重度化の抑制を図るため、特定健康診査並びに特定保健指導を推進しております。また、各種がん検診の実施が病気の早期発見、早期治療につながっており、結果といたしまして医療費の抑制に寄与しているものと考えております。ご質問のジェネリック医薬品は、新薬の特許終了後に、有効成分や用法、容量、効能及び効果が同じ医薬品として申請され、厚生労働省の認可のもとで製造、販売された、より安価な薬でございます。このジェネリック医薬品を利用していただくことは、薬に対する自己負担額が軽減されるとともに、医療費全体の削減効果が期待できることから、大変有意義なものであると認識しております。私は、昨年より神奈川県国民健康保険団体連合会――通称国保連でありますけれども――理事長を務めておりますけれども、ジェネリック医薬品の利用ということも24年度から積極的にやっていただきたいという形で各市町村にお願いする予定になっております。県下全体で医療費の抑制がやっぱり大きな課題でございますので、こういった面では役に立つという形であります。このため、国保連とともに連携を図り、市としてもジェネリック医薬品の普及促進に努めてまいりたいと考えています。
◎保健福祉部長(猪熊政喜) それでは、1番目の「ジェネリック医薬品の普及促進」についてでございます。
初めに、市の国民健康保険医療費総額の推移についてご説明申し上げます。平成20年度が約87億5500万円、平成21年度が約89億4500万円、平成22年度が約95億3000万円となっており、平成23年度は102億円を超える見込みでございます。平成20年度と23年度を比較しますと、16パーセントを超える大幅な増となる見込みでございます。国保加入者の高齢化と医療の高度化が進む現状では、医療費の増加は今後も続くものと考えております。
次に、被保険者1人当たりの医療費でございますが、平成20年度が25万591円、平成21年度が25万3448円、平成22年度が26万5682円となっており、平成23年度は28万円を超える見込みで、やはり年々増加している状況でございます。
なお、本市の1人当たりの医療費は、全国における1人当たりの平均医療費を下回っている状況でございます。今後の見込みでございますが、医療費総額と同様、被保険者の高齢化や高度医療技術の進歩に伴いまして、引き続き増加傾向は続くものと考えております。
次に、ジェネリック医薬品の促進による国保財政への効果についてでございます。ジェネリック医薬品の薬価は、当初は一律先発品の7割になっておりますが、その後、病院などが購入する実勢価格の推移に合わせて下げられます。このため、ジェネリック医薬品の価格は3割から7割安となり、窓口で支払う薬代は半額程度に抑えられるものになります。ジェネリック医薬品については、国においても患者負担の軽減や医療保険財政の改善の観点から使用促進を進めており、平成24年度までにジェネリック医薬品の数量シェアを30パーセント以上にすると数値目標を定めております。市の平成22年度の医療費総額は約95億3000万円、このうち医薬品は約12億5000万円であることから、医療費全体に占める医薬品の割合は約13パーセントとなります。現在ジェネリック医薬品の数量シェアは約20パーセント強でありますが、このシェアが30パーセントになることにより、医薬品に係る費用がさらに減額され、国保財政の健全な運営にとって有効な手段になると考えております。
◆(久保田英賢 議員) 1番目の「ジェネリック医薬品の普及促進」に関してなのですけれども、ジェネリックの先進各国の普及率が、アメリカ67パーセント、イギリス61パーセント、ドイツ64パーセント、フランス40パーセントとなっているのに対しまして、我が国は20パーセントとなっております。市民の皆様、ここにいらっしゃる皆様も含めてかもしれないのですけれども、ジェネリックがなかなか広がっていかないという部分に関しては、何となく安かろう、悪かろうというようなイメージがついている部分もあるのではないのかなと思うのですけれども、ジェネリックをいかに市民の方々にPRしていくかということが重要になってくると思います。
そこで、お伺いをさせていただきたいと思うのですけれども、1つは、ジェネリック医薬品希望カードたるものがあるのですけれども、意思表示ですね。私はジェネリックを使いたいですよというのを調剤薬局等で出してくる希望カードというものがあるのですけれども、この希望カードも、国のほうで調べてみると、希望カード自体を「知っている」と答えている人は36パーセント、「知らない」が約60パーセント、「知っている」という人で「使ったことがある」という人が20パーセント強ということになっております。希望カードの認知度もまだまだ低いのですけれども、海老名市においては希望カードを認知度向上策として使っていくことをどういうふうにお考えかということをまず1点お伺いします。
そしてまた、その利用促進についてなのですけれども、ジェネリックが使われるに当たって、保険加入者が、自分が使っている薬をジェネリックにかえたらどれぐらいの値段の差が出るのかというような通知カード、差額通知書というものがあると聞いています。既にもう広島の呉市は平成20年度よりそういう取り組みをされていて、例えば糖尿病とか高血圧などの慢性的な疾患にかかって、長期の間、薬を飲まれる方、そういう方々が薬をジェネリックにかえた場合、どうなるのかという差額通知書というのを出されているそうです。この差額通知などの取り組みによって、呉市では平成20年7月から22年3月までの累計で1万1613人の方がジェネリック医薬品に切りかえているそうです。海老名市においては差額通知書に関しても実施する予定があるか、お伺いします。
◎保健福祉部長(猪熊政喜) まず初めに、ジェネリック医薬品の認知という部分でございますが、やはりこの部分は、皆さん医薬品に対する不安というものが一番大きいところだろうと思っております。安心をしていただくためには、安全性や有効性について周知を図っていかなければいけないだろうと考えてございます。このため、今ご指摘のありました希望カードや広報での周知、また、関係団体との協力など、さまざまな方法で認知をしていただけるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。希望カードにつきましては、薬剤の処方時に提示をしてご利用いただくものでございますが、ジェネリック医薬品の普及、啓発のためのパンフレットがございまして、そのパンフレットに希望カードを添付するなど、工夫をして作成してまいりたいと考えております。
また、ジェネリック医薬品の使用については患者本人の意思によるために、患者と一番身近に接する医師とか薬剤師の方々の協力が必要でございます。このためにも医療や薬剤の関係機関と連携を図るとともに、広報やホームページ、パンフレットなどを通して周知を図ってまいりたいと思います。
2番目の差額通知ということでございますが、差額通知につきましては民間の事業者に委託して実施しておりましたが、昨年の12月に国民健康保険団体連合会のシステム開発が終了いたしました。安価な経費で実施することができるようになります。既に県内でも数市が23年度から差額通知を発送しておりますけれども、本市におきましても国民健康保険団体連合会との調整を進めながら、できるだけ早い時期に差額通知の発送を行いたいと考えてございます。
いずれにいたしましても、ジェネリック医薬品の普及を進めることにより、被保険者の自己負担軽減が図られ、医療費の抑制につながります。今後も普及、啓発を進めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
◆(久保田英賢 議員) ありがとうございました。第1に市民の方々の医療費の抑制、そして医療保険財政の改善のためには、もうこのジェネリック医薬品というのは非常に有効的だと思っておりますし、今、保健福祉部長からもご答弁をいただきました。ぜひ医師会であるとか歯科医師会、薬剤師会の3師会とは友好関係にもあると思いますので、ご理解をいただいて、ジェネリックは後発商品であってもちゃんとした薬なのだということを市民の皆様に伝えられるよう、そのような普及、促進キャンペーン、そんなものも行っていただきたいと要望をさせていただきます。