令和3年6月14日【災害時に備えた災害協定の現状と今後】

令和3年6月14日 第2回定例会
「災害時に備えた災害協定の現状と今後」 R3.6.14

「災害時に備えた災害協定の現状と今後」についてです。
 2011年3月11日に発生した東日本大震災から今年で10年がたちました。避難者数は2021年2月現在で約4万人、仮設住宅の入居戸数は931戸と、いまだに震災前の日常を取り戻せていない方々が大勢いらっしゃいます。ここ近年でも、地震、台風、大雨などによる自然災害の被害は数多く発生しており、被害の大きさも年々想定を超えるものとなってきております。災害はいつ起きるか分からない、そのための備えを万全に尽くす必要があると思います。
 平成29年6月定例会、令和元年9月定例会において、災害対策について一般質問をさせていただき、市では、災害時の備えとして、市だけでは対応できない復旧復興を想定し、各企業や団体などと災害協定の締結をしており、協定締結後、協定の締結先と様々な取組をされているとお伺いいたしました。その後、現在の災害協定先はどのように変わってきているのか、現状についてお伺いいたします。

市長(内野 優) 久保田英賢議員のご質問にお答えいたします。
「災害時に備えた災害協定の現状と今後」についてでございます。
 本市では、災害時における応援について、他都市や民間事業者など102団体と協定を締結しております。災害により大きな被害を受けた場合、市単独では早期の復旧復興が困難なことから、災害協定は非常に大切であると認識しております。最近では、地域貢献の一環として、民間事業者からの申出により災害協定を締結させていただく機会が多くなっており、民間事業者の意識が高まっているものと感じております。先月締結した民間事業者における災害協定では、大規模地震等の災害時に、県外相互応援協定都市、10都市との支援物資等の陸上輸送が困難な場合の手段として、航空機の活用が可能となっております。いざというときには、非常に頼りになると考えております。自治体間の相互応援協定は、近隣のみならず、姉妹都市をはじめとして県外10都市とも締結し、お互いに助け合える体制を取っております。なお、現在、市制施行50周年を契機として、新潟県新発田市と協定締結に向けた調整を進めているところでございます。

(久保田英賢議員)
 市単独で早期復旧や復興が困難であることから、災害協定が有効な手段であるということはお伺いしました。そして、協定先が102団体あるということで、この102団体の業種などのカテゴリーはどのようになっているのか、そして、どのような目的でその102団体と締結されたのか、お伺いしたいと思います。あわせて、10都市の協定先の選定の理由に関してもお伺いしたいと思います。

危機管理担当部長(二見裕司) 災害協定は、大規模災害発生時において、市単独で応急活動等を遂行できない事態を想定いたしまして、他の市町との相互応援協定を締結するとともに、民間企業等の事業分野に応じて多岐にわたる協定または覚書を締結しているところでございます。構成につきましては、自治体相互の応援協定のほか、生活必需品、飲料水、応急復旧対策、医療救護活動、施設提供など15のカテゴリーで102件の災害協定を締結しております。締結件数の多い主なものといたしましては、大規模災害時において、避難者や要配慮者のための施設提供を要請できる施設提供が26件ございます。このほかに、災害が発生した場合における応急復旧対策に特化した業務が24件、生活必需品の調達や供給に特化した業務が13件でございます。
 次に、相互応援協定の締結先につきましては、姉妹都市としてトライアングル協定を締結している白石市、登別市のほか、茨城県那珂市、茨城県桜川市、愛知県東海市、山形県白鷹町、愛知県豊田市、長野県須坂市、群馬県太田市、北海道羽幌町の合計10市町でございます。
 なお、選定理由についてですが、相互に協力し合うという意味では、原則的に同時に被災しない位置にある自治体、いわゆる経済圏が異なる自治体と協定を締結しているところでございます。

(久保田英賢議員) ありがとうございました。15のカテゴリーで102の団体と締結されているということで、この15というカテゴリーが、果たして災害時のところでは足りているのかどうなのか、また、その協定の数も今後増やしていこうと考えているのか、都市も含めてお考えがあればお伺いしたいと思います。

危機管理担当部長(二見裕司) 災害協定の締結数につきましては、多いことにこしたことはないと考えております。しかし、締結数を増やすよりも、大規模災害発生時における被害想定や避難者のニーズ等をしっかり見極めて、適切なカテゴリーの事業者と災害協定を締結することが何より重要だと考えております。例えば、昨年、一昨年と民間の2事業者と締結させていただいた、災害時におけるモバイルバッテリー等の電子関連物品等の提供につきましては、10年前、20年前では想定されなかったものでございます。現在のニーズを踏まえたものと言えると思います。今後においても、避難者ニーズ等を適切に捉えながら、適切な事業者と災害協定を締結してまいりたいと考えております。

(久保田英賢議員) ありがとうございます。まさに災害の種類によって、地震なのか、もしくは大雨なのかによっても、その支援や復旧時に必要なものは変わってくると思いますし、この点に関しては、様々な事柄をぜひ想定していっていただいて、カテゴリーを追加するなり、災害協定先を増やすなりということをしていっていただきたいと思います。
 都市のところで1点お話をさせていただきますと、他都市との連携の部分で、トライアングルの白石と登別においては、民間の協定も進んでいると思います。例えば少年野球は交流試合をやっているということなのですけれども、それ以外の都市との民間の交流は今まだなされていないようにも思います。10都市の中で、また民間的なつながりがないような都市とは、ぜひ少年野球だとか、スポーツとか、そういうものを通じて、まずは日頃からの交流もしていっていただけるように、永井議員からお願いをされましたので、ここでお伝えさせていただきます。
 協定締結した後、締結をまず交わしますけれども、その後は私は非常に重要だと思っています。締結後、顔を合わすことがなかなかないのかと思っておるのですけれども、協定を締結した後、平時、日常において、102の締結先とどんな連携を取っているのか、企業、団体、他都市との状況についてお伺いをします。

危機管理担当部長(二見裕司) 協定先の市町との日頃からの関係については、今後、広域避難とか、そういう点もございますので、日頃から市民同士が交流を持っているのは大切ではないかなと思います。また、平時における連携といたしましては、災害協定締結後、顔の見える関係を築くために、2年に1回連絡を取って内容を再確認いたしまして、協定を更新しているところでございます。また、相互応援協定の締結先市町とは、地震災害においては、おおむね震度4以上の地震が発生したという情報がありましたら、被害状況とか、支援要請の有無などを相互に確認を行っております。

(久保田英賢議員) 今、ご答弁の中で、締結をした相手と2年に1回の顔の見える関係づくりというご答弁がありました。ちょっと、私、少ないのではないかと思います。災害はいつ起こるか分からないことと、あと、市の職員もそれぞれ異動もあると思います。そう考えると、少なからずとも、半年に1回は何か双方の確認作業とか、情報交換は必要ではないかなと思うのですけれども、そもそも災害協定先に対しての市の窓口はどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。

危機管理担当部長(二見裕司) 市の災害協定の窓口につきましては、災害協定の条文において、支援要請の伝達を正確かつ円滑に行うため、双方の連絡責任者を定めているところでございます。市の連絡責任者の内訳といたしましては、102件の協定のうち、75件、約74パーセントが危機管理課長で、残りの27件は、各所管課の課長等が連絡責任者となっているところでございます。

(久保田英賢議員) 102件のうちの75件、約74パーセントが危機管理の課長が窓口で対応しているということは、先ほど来話している平時の連絡体制が大事だというところの中では、危機管理が74パーセントを担うという部分に関してはいかがかなと思います。この件に関しては後ほどまたお話しさせてもらいます。
 1つ具体的な例で話をさせていただきます。海老名市建設業協会の役員と我が会派の森下賢人議員と一緒に意見交換をさせていただきました。その際、東日本大震災においても、建設業の復旧復興で担った役割はとても大きいものであったという話を建設業協会の方々はされていました。市建設業協会も、この災害協定について、より実効性のあるものにしていきたいということで、現場の窓口と話をしていきたいというお話がありましたけれども、市建設業協会との取組に現状に関してお伺いしたいと思います。

機管理担当部長(二見裕司) 市建設業協会とは、応急対策活動等の協力に関する災害協定を締結させていただいているところでございます。こうした中、市建設業協会から、大規模災害が発生した際、協定に基づいた協力体制をより実効性のあるものにしたいという申出がありました。先日、協会役員と、まちづくり部、市長室危機管理課と3者で打合せを行ったところでございます。市といたしましても、これを機に万が一の災害に備えまして、協定先と連携を密にしていくことは望ましいことだと考えております。

(久保田英賢議員) まさに協定を結ぶということの重要性もあると思うのですけれども、協定を実効性のあるものにするためには、今回、協会と危機管理、そしてまちづくり部が、平時に定期的に打合せを行ったということは非常に重要なことだなと思います。この打合せ、具体的にどんなものだったのか、今後の方向性とか、もしくは課題に関して、建設業協会の窓口になっているまちづくり部長からご説明をいただきたいと思います。

まちづくり部長(谷澤康徳) 建設業協会には、大雨、大雪、こういったときの対応で非常にご協力をいただいているところでございまして、せんだって、打合せをさせていただきましたけれども、現状の課題としましては、市の建設業協会は、神奈川県の災害協定も結んでいまして、そういった重複することによる調整が必要だということだとか、災害の事象ごとで対応が違ってくる、さらには、より円滑な連絡体制の構築、こういったものが課題として挙げられました。実際に、それに対しては、緊急巡回をやるときのエリア設定だとか、災害の事象ごとの詳細な対応方策、さちには、情報発信だとか、連絡体制の明確化、こういうことを整理するといった目的で、我々はこのとき出ましたけれども、状況を熟知している現場の各担当が集まって話し合いをして、詳細な事項を詰めていくほうがいいのではないかとなりまして、現在、その方向で動き出しております。

(久保田英賢議員) ありがとうございます。実効性あるというのは、平時のときにいかに打合せができているか、訓練ができているかということだと思いますので、ぜひ進めていっていただきたいと思います。
 災害時の全体を仕切る役目とか、協定に関して全体を把握する役目が、恐らく危機管理課の役目だと思います。万が一災害が起きたときは、市が災害対策本部が立ち上がって、先ほどのカテゴリー別に協定先との市の窓口が連携していくことになるのだと思います。先ほど伺った中だと、そういう中で、危機管理課自体が74パーセントも窓口を担っているという部分に関しては、なかなかスムーズにその流れが行かないのではないかと考えます。それはなぜかというと、私は先ほどまちづくり部の1つの例がモデルになると思いますので、そういう平時の打合せを含めて、危機管理が窓口になっているのがそれだけ多いというのはどうかなと思います。市の窓口として、災害対策本部ができ上がったときに、各危機対処の部で事前に打合せしたほうがよいというものが、私は一覧を見ても感じさせていただいたのですけれども、危機管理としてその考えに関してどのように考えるかお伺いします。

危機管理担当部長(二見裕司) 議員ご指摘のとおり、協定書の内容によっては、危機管理課ではなく、他の危機対処の部で連携を図っていただいたほうが、実災害のときにスムーズに活動が行くものと認識しております。この件に関しましては、今後整理が必要であると考えておりますが、協定先のご意向等もございますので、その辺も確認しながら、慎重に進めてまいりたいと考えております。

議長(倉橋正美議員) 久保田英賢議員。
(久保田英賢議員) どれだけ日頃、顔を合わせたり、連絡を取ったり、そのときのことを想定していることが共有できているかということが、市としても、その協定先としても重要なことだと思います。起きたときに初めてこんにちはではやっぱり困るわけで、そうではない、そのためには、市のそれぞれの部署がそれぞれの自分の業務を担うところの場所と連携を日頃から取る、ぜひそのことをしていただきたいと思います。そういう過程の中で訓練というものも非常に重要になってくると思います。協定先と含めた、連携の訓練はなされているのかどうなのか、お伺いしたいと思います。

危機管理担当部長(二見裕司) 訓練につきましては、昨年度はコロナ禍のため、予定していた全ての訓練が中止とせざるを得ませんでした。例年、市では、災害等の緊急時において、庁内での横断的な連携による組織の立ち上げ、それと、適切な初動対応を迅速に行うためのオペレーションセンター訓練、それと毎年9月に各避難所予定施設で実施する避難所運営訓練など、年間を通して様々な訓練を実施しております。このため、これらの訓練に災害協定先との連携等を含めた内容を盛り込むなど、様々な手法を今後研究していきたいと考えております。

(久保田英賢議員) 重ねてになりますけれども、災害が起きて、担当の窓口がどこなのかということに関しては、事前に分かっていることだと思いますが、そこの担当者と市の担当者が全然コミュニケーションが取れていないというところは、やっぱり実効性があるものにはならないと思いますし、そのためには、日頃市がやっている訓練の中の1つ、ちょこっとでも、災害協定先と市の担当部署との連携の訓練とまでは言わないにしても、情報交換等意見交換等に関してはぜひやっていっていただきたいなということを重ねて要望させていただきます。
 あわせて、災害が起きた際に協力いただく協定先は、健全に事業が発展していってもらう必要が私はあると思います。例えば神奈川県とか、厚木市、横浜市などの自治体では、災害協定先に限っての市の指名入札に参加できる制度があるように聞いております。例えば市の建設業協会に加入している業者に限って参加ができる入札があるようなこと、このような制度もあると思いますので、何かのときにしっかりと役割を担ってもらう様々な市の協定先の方々に対しては、健全に事業を発展していっていただく必要があると思うので、そういう点に関してもぜひご検討をお願いしたいと思います。
 いろいろお話をしましたけれども、協定先、平時から顔の見える関係づくり、訓練等のお話をさせてもらいました。私は2年に1回の顔の見える関係に関しては、ちょっと少ないと思いますけれども、市長の見解をお伺いしたいと思います。

市長(内野 優) 担当は2年に1遍という形ですけれども、今、コロナの関係で、全国とか、関東の会議はありません。通常におきますと、全国市長会や関東支部の総会や、様々ありまして、災害協定を結んでいる市長とは確実に年一、二回会っております。そういったときに、そもそも協定した都市は、私が関東支部の支部長をやったり、全国市長会の副会長をやったときにいろいろ交流を図った市であります。そのときに1つ考えるのは、どこでもいいという話ではありません。先ほど言った被災が一緒にならないように、経済圏が違うということ、それから、交通の便としてどうかという問題であります。
 豊田市は、人口が40万人以上で、世界でも知れ渡っている市でありますけれども、なぜできたかというと、そういった形の中で、第二東名の出発が豊田市なのですね。今、第二東名の終着は南ジャンクションで海老名なのです。そういった関係の中でやっていこうよという話がありまして、そういった形で結びました。あるところは、ほかの市、町でも来ています。九州の長崎のある市では、やらないかと。九州までこっちが手を伸ばすのはすごい大変なのですね。あるいは四国の町からも来ておりますけれども、そういった部分で、様々な点で、海老名が災害があったときにどうやって行くかという形のシミュレーションの中で、担当が考えた中で、そういった交流があるところについてはやっていきたいと思っています。今後も、こういったコロナの関係がありますから、それがある程度収まった段階では、議員がおっしゃるように、2年に1遍ではなくて、本来は1年に1遍、災害協定を結んでいる担当者が集まって、今年はどこどこの町、次の年はどこどこの市で、お互いそういった交流というか、意見交換を図ることは絶対に必要になってくるだろうと思っています。

(久保田英賢議員) ありがとうございます。ぜひお願いしたいと思いますし、先ほどの団体もしくは企業との市の窓口の連携に関しては、まちづくり部がまさにモデルとして始めていただいておりますので、そのような内容でぜひ全部の中で動いていっていただければと思います。
 最後に、BCPに関しても今日お伺いをしたかったのですけれども、これはまた次回にさせていただきたいと思います。災害時には、復旧復興とともに、市の業務をどうやって継続していくかということの計画も非常に重要なことになってくると思いますので、今後またBCPのほうもしっかりとつくっていっていただくことをお願いして、終わります。